■そんなに苦労した覚えはない。“がんばっている”と思うのは一種の逃げでは?
スーパーワーキングマザーという称号をご本人はきっと嫌がるでしょうが、そうとしか呼べない勝間和代さん。金融系の調査分析のお仕事の傍ら、3人の娘さんを育て、ムギ畑というワーキングマザーなら誰でも知っているコミュニティーを運営。ワーキングマザーのみなさんには、勝間さんではなくムギさんと呼んだ方が、なじみがいいかもしれませんね。最近では、ブログも2つ運営するなど、まさに八面六臂の活躍。そんな勝間さんのエネルギーの秘密を探るべく、ご自宅にインタビューにうかがいました。
― 勝間さんの今までのキャリアについて軽く振り返っていただけますか?
勝間さん:大学在学中の21歳の時に長女を出産して以来、36歳の現在まで、15年間ワーキングマザー生活をしています。最初の4年間が公認会計士兼コンサルタント、次の3年間が金利のトレーダーで、6年間の経営コンサルタントを経て、今は金融機関で企業や産業を分析してレポートを出し、メディアなどでコメントをする仕事をしています。ちょうど、これまでやってきたコンサルタントとトレーダーの中間のような仕事です。25歳、30歳の時にそれぞれ次女、三女を働きながら出産しました。
― 最初はどういうお仕事だったのでしょうか?
勝間さん:1988年に慶応大学商学部2年生在学中に公認会計士の2次試験に合格し、4年生のときからアーサー・アンダーセンという外資系の会計事務所で働いていましたが、そのときに最初の娘を出産しました。
― 学生で、ママで、会計士っていうことですよね?ものすごくたいへんだったのでは?
勝間さん:そんなに苦労した覚えはないですね。保育園はあるし、仕事もまだ新入社員で部下もいなかったので周りに迷惑をかけるというほどのこともない、姉にもすでに子供がいたので、自然と産もうと思ったし、資格も持っていたので失職するとは思わなかった。正直言って、自分の腕には自信がありましたから。バブル時代だったので、周囲も自由に生きていたでしょう?友人たちからも驚かれたけど、割と普通な反応でした。
― 苦労しなかったという言葉が自然と出るのが、すごいですね。
勝間さん:ただ、育児の悩みや知識などは、現在の@nifty、当時のニフティーサーブのパソコン通信の育児フォーラム(fchild)を活用することで、ずいぶん救われました。情報や思いを分かち合う場として活用しましたね。
このことが、ムギ畑を立ち上げる前の原体験になっていると思います。経済的に家賃や保育園代で結構きつかったのに、ニフティーサーブやcompuserveの通信費で、何万も月に払っていました。正直この頃は、生活するのに手一杯で、悩む暇はありませんでしたね。時間的には新入社員だったこともあり、自分だけの管理をすればいいので、さほどの忙しさは感じませんでした。
― 次に、また出産と転職を経験されますね。
勝間さん:94年の1月に第2子を出産し、産休後に4月にアンダーセンに戻ったら、ちょうど会社が合併をしたばかりで、かなり会社の雰囲気や制度が変わっていたのです。周りの同僚もどんどん退職していました。
私も退職しようか悩んでいたところに、偶然ヘッドハンターから誘われて、その年の10月からやはり外資系の銀行に金利のトレーダーとして転職しました。この銀行も合併でがたがたしてはいたけれど、仕事としては順調でしたね。時期的にも金利が下がっていたので、その分儲かりましたし。
ただ、トレーダーの仕事って肉体的なルーティン作業の部分が大きくて、私が飽きちゃったんですね。それで、途中からトレーダーからリサーチャーに変わって「あ、こっちのほうが向いているな」と実感。でも、この銀行の金利部門にいる限り、リサーチャーはトレーダーの下請けになるざるを得ないことに少々不満を感じていた矢先に、仲のいい同僚が辞めてしまったのと、アンダーセンの昔の上司から戻ってこないかという誘いを受けたことで、転職を意識しました。
― それがどういういきさつでアンダーセンではなくマッキンゼーに?
勝間さん:その仲のいい同僚の友人が、「もしアンダーセンに戻る気があるのなら、せっかくならその分野(調査・コンサルティング分野)でトップの会社に行きなさいよ」と勧めてくれたんです。それで、業界トップであるマッキンゼーにレジュメ(履歴書)を送り、幸運なこと早々に内定をもらいました。28歳のときです。
― ちょうどその頃、ムギ畑を立ち上げていますよね?
勝間さん:3年働いた銀行を97年の10月に退職して、マッキンゼーの入社が1月だったんです。2ヶ月くらい暇だったんです。そこで、当時、ニフティーのパティオ(クローズコミュニティ)にワーキングマザー仲間とコミュニティーを作っていたのですが、月々500円のお金を払うのももったいないので、どうせなら、すでにお金を払ってしまっていて追加料金がかからない、自分のISPのサーバー領域内にインターネット上のBBSを作ろうと、その間にムギ畑を立ち上げました。
ですので、正直、最初はそんなに強い思いがあったわけではないんです。でも、集まってきたメンバーに救われましたね。運営メンバーは今でもそのパティオのメンバーや、98年の前半に参加してくださった人が主流です。97年の10月に立ち上げて、98年の2月には100人になっていました。現在は会員数3600人で、運営は40人程度で担当。しくみさえ作れば自動的にまわります。たぶん、運営のメンバーたちは、私に任せておくのは不安だから、いろいろやってくれているのではないかと(笑)。
― ワーキングマザーにとっては、心の拠り所となっているありがたい存在ですよね。わたしもどれほどムギ畑にはお世話になったことか。このサイトのメンバーにもムギ畑で出会ったことがきっかけで仲良くなった方がいるんですよ。ただ、半年アクセスしないと会員資格がなくなってしまうんですよね。私、今、2回目の会員資格停止を食らっているので、また近々入会しないと(笑)。98年の1月からのマッキンゼーでのお仕事はいかがでしたか?
勝間さん:最初は元トレーダーなので金融が主な担当だったのですが、システムに強いというのを見込まれて、当時非常に伸びていた情報通信分野、特に携帯電話やインターネット関連を極めるような仕事を多く担当したのはラッキーでした。今でも私は通信とモバイルコンテンツが専門です。一つの分野を極めるというのはとても大切なことだと思います。
― ご自宅、本の量がすごいですね。分野を極めるのに自己研鑽を疎かにしないということがひしひしと伝わってきますが。
勝間さん:1ヶ月に15万円は本を買います。でも、みんな、新聞・本などから、一日に2時間くらいは勉強しません?してると思うんですよ。「よくいつ寝ているの?」と聞かれますが、6時間は絶対に寝ています。時間はどう編み出していくかだと思うんですよ。テレビをだらだら見るのとか、嫌いなんです。
― そうですね。テレビを見る時間はもったいないですよね(といいながら、非合理的な時間をかなりすごしているので、内心かなりやばい;;と思っている)。しかし、15万円はすごいですね。
勝間さん:本にはお金に糸目をつけませんね。アマゾンで買って、ブックオフで売るという流れができています。食費よりもずっと出費としては多いですね。
― 99年の1月に第3子をご出産されて、2003年の9月にまた外資系の金融機関に転職されていますが、これはどのような理由ですか?
勝間さん:家族のために時間的な余裕が欲しかったことが一番の理由です。外資で情報通信かつ金融会計という、とてもニッチな分野を専門にしているから、今まで生き残れたのだと思います。
― ほんと、出産するたびにキャリアアップしているように見えますね。まったく出産・育児が仕事の障害になっていないのが不思議です。少子化についてはどう思われますか?
勝間さん:社会全体を見渡して、子供という存在を受け入れる場所がなくなっていますね。昔のように這い上がるためには子供を数産んだほうが有利という社会から、親子ともに子供は一人のほうが有利な社会となっています。つまり、中流家庭の選択として、子供を少なくするというのが「論理的な解」となっているんですね。
女性のキャリアに着目すれば、日本は人生のパイプラインシステム(どこからでもやり直せるシステム)が機能していないので、出産でパイプラインから外れるのを恐れるのは当然だと思います。よほどの自信と実績がないと失職の恐れがある。女性が出産してもパイプラインに乗り続ける道具として、「資格」「語学」「若さ」のどれかを持っていないと駄目なんでしょう。ラッキーなことに私はたまたま、出産当時から3つともあったのでパイプラインから外れずにすんだのだと思います。
― 勝間さんとお話していると、そのライフスタイルがすごく自然で、合理的ですよね。時間と情報の2つの資源の合理的な使い方が凡人とは違うなとつくづく思います。ついつい忙しいを言い訳にしがちなワーキングマザーについて何かメッセージありますか?
勝間さん:外資で働いて思うのは、彼等は時間に対する考え方が厳密だということ。会議に遅刻する人は皆無です。もっと合理的な時間の使い方を、ワーキングマザーはもちろん、ホワイトカラーの生産性が低い日本の社会も進めて行くべきです。
あと、私ははぜんぜんがんばっていません。オーバーポジティブは危険だと思う。がんばっている自分が好きというのは、ある意味逃げではないでしょうか?がんばるというのは、根本的な問題解決ではないと思うんですよ。「がんばりすぎているからこそ、報われないんだ。もっと身の回りのしくみから見直した方がいい」と言いたくなります。
― 厳しい言い方ではありますが、わかります。すごくよくわかります。私も含めて、女性が陥りやすい罠ですよね。無駄ながんばりは組織にとっても、その人自身にとっても、マイナスなんですよね。「がんばる」ことの罠に陥らないようにするというのは、今日、この瞬間からでも私は肝に銘じたいです。
さて、最後にはなりますが、勝間さんの夢は何ですか?
勝間さん:調査研究職として足跡を残したいと思っています。学生時代、大前研一の新・国富論を読んで本当にびっくりしました。いつかそれに肩を並べるくらいのいい論文、いい本、もしくは新しい考え方を世に出したいですね。
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インタビュー後、正直、劣等感でいっぱいになった。久々の感覚だ。それとともに本当に優秀な人に会ったときに感じる、何かこの人のために貢献したいという感覚にも襲われた。勝間さんに会うたびにもつ感覚だ。彼女の真似はできないけれど、合理的な時間管理術。そのエッセンスでも消化できればと思うし、みなさんにもぜひおすすめしたいと思う。
ムギさんこと勝間さんが最近はまっているブログ運営。勝間さんの合理的なものの考え方を感じるのに、もっとも適したテキストです。私も愛読しています。
強さと優しさを兼ね備えた勝間さんの一ファンです。限られた人生の時間を合理的に使おうと新たに思いなおしました。それにしても、一月15万円の本代。職業柄といっても....すごすぎ。
2年前の予期せぬ妊娠時、「これからキャリアの足固めをしなくちゃいけない時期になんて失態を・・・」と後悔×絶望の絶頂にいた頃、偶然見つけて私を救ってくれたのがこのムギ畑でした。いや、「働く女性」の検索からムギ畑へたどり着いたのは決して偶然ではないですよね。
インタビューを読めてとても嬉しいです。らむねさん、ありがとうございます!!合理的時間の使い方、私もしっかり意識したいと思います。
「がんばりすぎているからこそ、報われないんだ。もっと身の回りのしくみから見直した方がいい」というお言葉、ガツンと来ました。
「がんばる」ということは悪い言葉ではないと思うけれど、「がんばる」ことを誇示する必要もなければ、まして「がんばっている自分」に酔ってはいけないと思いました。素直に自分のやりたいことの方向に努力をしていくことは決して必要以上に頑張らないとできないことではないんですよね。頑張りでカモフラージュせずにきちんとよく仕組みを見て自分の頭で考える癖をつけたいものです。
ムギさんのインタビュー、すごく嬉しいです。
考えさせられること、いっぱいでした。
私も無駄がキライなので、「しくみ」作り、気を使ったいきたいですね。
また、らむねさんがWMにとても身近に感じられるようにまとめてくださっているところが、とても嬉しいというかほっとしました。このまとめがなければ、もらう勇気よりも劣等感の方が大きくなったかも♪
過分な内容のインタビューとみなさんの温かいコメント、ありがとうございました。
私もほんの数年前を思い出すと、いろいろと赤面するような失敗を繰り返してきていて、きっとあと何年かすると、今やっていることもまた失敗だったと思い直すのだと思います。
らむねさんやワーキングマザースタイルの発想にも、非常に学ぶところが大きく刺激になりました。
これからもワーキングマザースタイルの発展を心からお祈りし、応援していきたいと思います。
インタビューを読んでいくうちに身が引き締まる思いでした。本当にすばらしい人は、どんどん伸びていかれるし、また回りもほっておかないんだろうなぁなんて思います。
私もよく「がんばる」とか「がんばれ」とか言ってしまいますが、ムギさんには、そんな気負いも感じられず、ただただ尊敬してしまいます。
それにしてもほんと、1ヶ月15万円の本代には、ただただビックリ。私ももっともっと勉強しなくっちゃと思いました。
ありがとうございました。>ムギさん、らむねさん
1ヶ月に15万円も本を買い込むとは、恐れ入りますが、まったくもったいないことです。
ネットに強いなら、ネットで情報収集するのが常識では?
らむねさんは、劣等感をお持ちになったとお書きになっていますが、そんなのナンセンスだと思います。
ムギさんは、自分の頭の良さゆえに、自分の欠点にはまったく気がついていないように見受けられます。
私に言わせれば、ただの「お馬xさん」です。
自分のことが見えてない。これは、重大な欠点だとおもます。
個人的意見ですが、ムギさんを崇拝している一部のワーキングマザーは、少し、ムギさんから離れてみた方がいいと感じます。
何度読んでも、このインタビューには納得できないところが多いですね。
バブル時代に苦労しないで就職して、あとは自分の能力がすばらしいから、どんどんキャリアアップしてきましたって、ただの自慢話。
苦労を知らない人間になにが分かるっていうんでしょう?
世間を知ったようなような口のきき方にも、腹が立ってしょうがない。
社会の底辺にいる人たちとも、出版社の社長さんとも知り合ってお付き合いしている私に、インタビューしてほしいものですね。>らむねさん。
実は、ムギさんのことはこのインタビューで初めて知りました。パワフルな方ですね!
私も「がんばる」という言葉は、あえて避けてきました。だからとっても共感しますー!生活の合理化も改めて考えてみたいと思いました。
今さらですが、4月1日のコメントに、一言。
出版物にはネットでは入手できない情報が載っているからこそ、お金を出して買う意味があるのです。
ご無沙汰しています。
くらたまインタビューに参加させていただいたのと、あと久し振りにいくつかこちらにコメントがあったので、補足をさせてください。
その1 苦労の話
これはくらたまさんのインタビューにもありましたが、過去のいろいろな経験・失敗からどう学ぶか、ということだと思います。
苦労がない人はないと思うのですが、苦労の定義次第ではないと。
まぁ、私も会社からクビだと宣告されたことも何回もありますし、離婚もしていますし、このへんの苦労話をし始めると話は尽きないのですが、ほんとうに、色々な苦労はしてよかったなぁ、と思っています。
その2 本代
補足をしますと、このうち半分くらいは海外のオーディオブックや通信教育の教材です。
最近はpodcastと言われているような無料放送も増えてきているので、もう少し工夫すれば下げられるかもしれません。材料として考えてみます。
その3 頑張らない=フローという概念
私が最近感じていることは、どうも心理学で「フロー(flow)」という概念でまとめられているようです。
日々の一つ一つの生活をしっかりと生き、毎日をしっかりと楽しむ中で、自分のスキルが増し、目標に近づく、というものです。
詳しくはURLにあるブログにまとめていますので、興味がある方はぜひご参照ください。
最後に、私はここの創立者でもあり、企画・運営をしているらむねさんの大ファンです。
らむねさんから教えていただいたこと、紹介を受けた方々は宝物ですし、いろいろと人生の幅を広げてくれました。
これからも、ワーキングマザースタイルをずっと応援していきたいと思います。
ムギさん、
ウォールストリートジャーナル紙が選ぶ、
「注目すべき女性50人」選出おめでとう!
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051101-00000026-jij-int
↑しばらくしたら、アクセスできなくなるとは思いますが~。
50名のうち3名が日本人女性で、
メリルリンチ日本証券の小林いずみ社長
日産自動車のインド販売会社の本広好枝社長
JPモルガン証券のアナリスト勝間和代氏
とのことで(^-^)
ムギさん、おめでとうございます!
世界のムギさんですね。
これから益々のご活躍を心からお祈りいたしております。
ぜひ、仲間に入りたいと矢も盾も
いられず、送っています。三人の子を自分育てしながら育て、仕事に真摯であろうとすると、身の置き所をさがしてしまいます。ただ、愚痴の聞きあいでなく、これからを見据えて生きたいのです。
先生昨日の講演有難うございます。私は金融の知識はゼロです。でも「銀行に、、、」で、とても好きになりました。最初に手に取った先生の本です。で、私は金融に関する知識はゼロです。よく解りませんが、先生の存在に感謝します。ありがとうございます。ちなみに私も玄米菜食正確には自然医食です。腸造血説はご存知ですか?肉を食べても肉にはならない。確かに、肉食は無駄な事とおもいます。
そんで、私は本田健先生神田先生の存在にも感謝です。
ムギさん
はじめまして
ダイヤモンドの記事で勝間さんのことを初めて知りました。
リタイアしてからこういう本を読まなくなっていて今まで勝間さんのことを知りませんでした。
これから勉強させていただきます。
ますますのご活躍をお祈りいたします。
“銀行にはお金を預けるな”を読み、大変共感しました。以来勝間ファンになり、著作はすべて読んでいます。TVにもご出演され、エネルギーをいただきました。お体にを大切に!これからも益々のご活躍を祈念しています。
勝間さんのインタービューの中で「資格」「語学」「若さ」が成功のkey wordsだと書いてましたが私はそうは思いません。なぜかと言うと私もこの3つの条件を持っていますが「やる気」がないのです。
よく人からもっと働けばいいのにと言われていますが日本の会社で正社員で働くことに「恐怖」を感じています。子供が生まれる前はなんとか一所懸命働いてましたが今は子供のこと、家事のことを理由にパートで働いています。勝間さんが子供3人を育てながら働き続けているのは彼女の強い意志と前向きな人生観が原点だと改めて思いました。
ムギさん、「勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド」を読みまして、目からうろこでした。正社員で働きながら、子育てをしていると、厳しい社会の現実を感じていました。今は、前向きにムギさんの経験を盗んで毎日を楽しく制覇して行きます。有難うございます。