【シネマ・こむぎスタイル】第14回 ありがとう
その後、会社に着くと、大きな火が上がり黒煙のたちのぼる街の光景がテレビに映っていました。お昼休みにも「いったいここはどこの国?」と思うような変わり果てた兵庫の町が。
この「ありがとう」という映画の主人公は、阪神淡路大震災で、家も仕事も失った古市忠夫さんというカメラ屋さんの店主。古市さんは地元の消防団に所属し、地元に貢献。阪神大震災後、被災地の復興に尽くしました。その古市さんが、その後59歳11ヶ月でゴルフのプロテストに合格するまでの実話です。
★ストーリーとみどころ
この映画は大きく分けて「阪神淡路大震災」と復興の前半と、古市さんがプロゴルファーを目指して頑張って行く後半に分けられます。
前半では、地震の恐ろしさに本当に震えました。実際にこの地震を兵庫県や大阪、淡路島で体験された方は、耐えられないのではないか?と思うほどでした。未明の地震だったため、スクリーンは暗く、その暗さが一段と怖かったです。古市さんが住んでいたのは若鷹商店街という昔ながらの商店街。その町は3日3晩燃え続け、焼き尽くされた。このシーンは実際に御殿場に作られたオープン・セットだそうです。
古市さんを演じる赤井英和さん、奥さん役は田中好子さん、そして二人の娘が、かつて自分の家があった場所で呆然とする。奥さんが「どうしてこんな事に・・・これからどうやって生きて行けばいいの~?」と泣き崩れるシーンがあります。すると古市さんは「誰も死んどらんやないか!誰もけがしてないやないか!」と言うのです。そうです、瓦礫の下で妻の声がするのに助けられず、胸がはりさける思いで娘だけを連れて逃げた人もいます。この地区だけでも亡くなった方は105名。生きているだけでも幸せな事です。この後も、奥さんは、けっこうよく泣き言を言います。私も言っちゃうかな~?でも「お母さん」という立場の人は、それではだめだよね。泣きたくても笑わなくちゃね。お母さんはみんなの太陽でなくちゃ!・・・ってすご~く思いました。
(震災後、水や食料が不足したり、避難所での生活等、大変な事がいっぱいあったと思いますが、そのあたりの事は詳しく描かれてはいません。)
「わしら、生かしてもろてんねん。生かしてくれた人に感謝せな。文句言うたらあかん。」
地震後、何日も経ってから、古市さんの車がほぼ無傷で見つかり(本人は車の事さえ忘れていた。)、トランクには、きれいなままのゴルフバッグが入っていました。「奇跡や~!」と喜ぶ古市さん。
古市さんは、31歳でゴルフを始め、アマチュアの大会で10回くらい優勝するゴルフ好きな人でした。
2年後(だったと思います・・・)、古市さんは新築の家を建てました。(どうしてそんなにすぐ建てられたんだろうね?すごい立派な家だよ。)家でゴロゴロしている古市さんに奥さんが「町も復興して来たんだから、我が家の復興も考えてよ!」と迫ります。すると「わしはプロゴルファーになるからな!見とけよ!」と宣言。
お金もないし、練習する場所もない。水の入ったペットボトルを持って町を走りこむ。港でペットボトルを持ってスクワット。何かのパイプにゴムを縛り付けたものを引っ張って筋トレ。そんな古市さんの姿に街の人も元気づけられ、一緒にスクワットをしたり、応援をします。古市さん一人の頑張りが、町の人達みんなの気持ちを明るく上向きにして行きます。
「人生後ろ向いたらおしまいや。前向いて行こうや。」
最初、この映画のストーリーを聞いた時、「震災の話は興味深い、でも、プロゴルファーになるっていうのは、どうなの?」なんて思ったのは事実。でも、前半はもちろん、後半のプロテストを目指す姿が、またとてもよかったです。奥さんも、心の底では応援しているけれど、半分夢のような事を目指す夫を肯定もしきれない・・・というのもとっても伝わりました。私だったら許さない!・・・かも。震災の時は、めそめそしていた奥さんですが、後半はすっかり関西人夫婦のテンポのよいかけあいで、ユーモラスでした。
ものすごく泣けましたが「泣いてください!」的な演出はないのが逆によかった。赤井英和さんがとてもすてきでした。関西弁が板について(あたりまえ)、あたたかみがあって。田中好子さんの関西弁は、関西の人が聞いたら「それは違う~!」と思うかも。関東の私も「ちょっとちがう・・・」って感じがしました・・・。夫婦って、家族って大事だよね。どんなに辛さのどん底にいても、みんなで前向きに頑張れば、必ず道は開ける!と思いました。
「ありがとう」という言葉の持つ、深さや重みを感じながら、家族で観てほしい映画です。
★その他に
この映画、キャストがとても贅沢です。主演の他に、かなり有名な人がほんの数分だけ・・・出ています。永瀬正敏、正司照枝(「かしまし娘」の人)、仲村トオル、でんでん、ザ・ぼんちの「まさと」、今福將雄(ドクターコトーのあきおじ)、尾美としのり、高橋和也(男闘呼組の!)、豊川悦司、佐野史郎、鶴見辰吾、桂きん枝、Mr.オクレ(!)、島木譲二(パチパチパンチの人)・・・・探してみてくださいね!
エンドロールで流れる歌が、土っぽくて力強い、素朴な歌声だったので、赤井さんが歌っているのかと思ったら、河島英五さんでした。映画にとてもぴったりな曲です。
「生きてりゃいいさ」

旅行から帰ってすぐにわかった事ですが、私は妊娠していました。結婚して11年目にやっと授かった命。17日の腹痛も、原因はそれだったのかもしれません。世の中にはいろんな偶然がおこるものです。命の重さ・尊さを感じた地震でした。この日の事を私は一生忘れません。
兵庫県西宮市の我が家と、両方の祖父母宅が全壊、私の父も、近所の人も、小さな子供たちもたくさん亡くなりました。11年経った今でも「今ここに自分が生きてるのが不思議」です。正直この映画は辛すぎて見れないかも。そういう関西人は多いはずです。
こむぎさん!。先日、りこさんの記事で「ミント神戸」という神戸新聞のビルが生まれ変わった記事にもコメントしたのですが、こちらに引っ越してきて震災で被害を受けた地帯の広さには、びっくりします。私も今、西宮市で暮らしていますが、JR沿線はほんと新しいビルがたくさんですが、新しいビル→震災で倒壊だという事を聞くと「はっ」とします。きっと、色んな思いが込められていることでしょう・・・。
じょうさんほどの被害は受けなかったですけど、私も10年以上経っても震災のことは思い出すのが辛いです。
映画、見ないと思います。
前半の震災の様子が長いようですし、きっと無理ですね。
でも、多くの方に見てもらいたい映画ではないかなと思います。
忘れられるのは寂しいです。
ごめんなさい、上のコメント、ちゅりっぷではなく、ちゅうりっぷです。