ワーキングマザースタイル職場復帰講座レポート 3日目「長期的な視野で働き続けていくために」(講師:ハナマルキャリアコンサルタント 細田咲江さん)




2007年01月12日

職場復帰講座レポート 3日目「長期的な視野で働き続けていくために」(講師:ハナマルキャリアコンサルタント 細田咲江さん)

Posted by 本田いく

いよいよ最後になりました。男女共同参画センター横浜が主催する「育休中のあなたへ~職場復帰準備講座」第三回目のレポートです!

今回は、流通企業で長く人事関係のお仕事をされ、出産を期に就職のアドバイスをするハナマルキャリアコンサルタントを設立された、細田咲江さんがお話をしてくださいました。細田さんは現在、駒沢女子大学や埼玉女子短期大学の講師を務められるほか、大学生の就職のスペシャリストとして、また転職や再就職の講師、アドバイザーとしてご活躍されています。

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細田さんからのお話は二つ。一つは、企業が育児休業復帰者を戦力としてどのようにとらえるのかということと、それを踏まえた自己プレゼンの方法。もう一つは、これからも輝く自分でいるために長い目で自分のキャリアを設計し、自己を再評価する方法です。

まず、人事視点のお話から。企業の人事部が考えることは「どこの職場に戻すか(配置するか)」だそうです。その際、決定のファクターとなるのが次の三点です。

●育児に関する体制は万全なのか?
子どもが病気をするものだということは、自明のこと。そのときに、自分が休んで看護するのか、病児保育のあてを確保しているのか。
●残業はどれくらいできるのか?
部署によっては「●日●時までに決算書類を作らなければ!」といった〆切仕事、あるいは時間を問わずかかってくる顧客からの問合せや苦情への対応が必要な場合もあります。その戦力として期待できるのか否か。
●次の出産予定の有無
考えているのであれば、いずれ欠員になるということです。人事としては、人員配置計画を立てなければならなくなります。

誤解しないでほしいのですが、上記三点をクリアすることが復帰の条件だと言っているのではない、ということです。復帰前に、配置について相談をしてもらえるような機会を設けてもらえるなら、上記三点について、できること・できないことを正直に、率直に伝えた方が良い、ということです。そして、今できないことはいつになったらできるようになるのか、できないことの代わりにできることは何なのか。ペースダウンを余儀なくされるであろう育児期間と、それを過ぎてからの仕事期間、自分の将来設計を会社と共有することで、お互い先の見通しを立てることができますし、何より「自分でキャリアプランを考えている」というメッセージを会社に提示することで、自分の評価を上げることができます。

今回の講座で、細田さんは「自分を自分で再評価して、長期的なキャリア設計をする」ための10種類のワークシートを配ってくれました。長くなってしまうので、一つ一つのワークシートについて細かく説明することはできませんが、簡単に出来て、なおかつ皆さんにぜひやっていただきたいものをいくつかご紹介します。

●私の働く理由
次の5つを、順々に書き出してみてください。そして、困ったときに見直してみてください。「あの時はもっと大変だった」「私は、このために頑張っているんだ」など、原点に返ることができます。私はこのシートをデスクの近くに張ってあります(笑
1.なぜこの仕事を選んだのか
2.仕事をやってきてやりがいを感じたこと
3.仕事をやってきて大変だったこと、辛かったこと
4.そのとき、どうやって乗り越えましたか?何を考えましたか?
5.私の働く目的は

●公私問わず「5年後までにやっておきたいこと」を20個書き出す。
だいたい、5個~10個はすらすら出てくるそうです。でも、そこから先が続かない。それを一生懸命考えていると「忘れていたけれど本当にやりたかったこと」がポロっと出てくるそうです。

●家族の年表
今年の年号を縦軸に、向こう25年分の自分と家族一人ひとりの出来事を記入します。何年後に子どもがどれくらい大きくなっているのか、残業ができるようになるのか、そして大きな出費が予定されるのか(泣)、一目でわかるようになります!また、この年表を元に、自分がいつごろになったら完全戦力として職場復帰できるようになるのか、目処を付けられるようになります。

全てを紹介することはできませんでしたが、これらのワークを実践することで、色んなことを可視化させることの大切さを痛感しました。いつも時間に追われるワーキングマザーだからこそ、敢えて時間を確保して、家族全員の5年後、10年後を俯瞰してみる、一日のタイムスケジュールを洗い出して表を作ってみる、という作業が大切なのです。自分の手で書き出していくことで、頭の中が整理され、また、一枚の紙に収めることで物理的に俯瞰することが可能になります。頭の中が整理され、自分にとっての優先順位や、時間や環境のせいにして諦めていた“本当にやりたいこと”が浮かび上がってきます。

もう一つ見えてくるのが、自分の人生設計は、家族抜きには語れないということ。非常に当たり前のことなのですが、どうしても「仕事」と「プライベート」は分けて考えがちです。しかし、どちらも大切な自分の人生の構成要素なのです。特に子育てに関しては「入学」「受験」など、避けられないステージがある時期がある程度はっきりしています。それらを「所与の条件」としてキャリア設計にあらかじめ組み込むことで、その時になって無用な焦りを感じることから解放されるのではないでしょうか。

自分のキャリアや能力を棚卸しし、長期的な視野で俯瞰したキャリア設計は、育児休業からの復帰時だけでなく、勤務評定の際の切り札にもなります。「時短勤務を理由に最低ランクの査定をされた…成果は出しているはずなのに…」というのは、私の周りでも良く聞く話です。そんなときこそ腐らずに、まずは「家族の年表」を書くところから始めてみませんか?いつ頃から残業ができるようになるのか、時短が取れている間にやっておきたいこと・出来ることは何か、自分のキャリアを、人生設計を見直して、家族や上司と共有することは、きっとプラスに働くことと思います。

本当に学ぶところの多かった、横浜市の男女共同参画センターが主催する「育休中のあなたへ~職場復帰準備講座」。次回は2月にアートフォーラムあざみ野で開催されます!育休取得中の皆さん、本当に実り多い講座ですから、よかったらぜひ参加してみてくださいね!

【開催概要】
開催日:2月9日(金)、18日(日)、22日(木)
講師:ももせいづみ(クリエーター)、福沢恵子(ジャーナリスト)
受講料:4500円/市外在住者 5000円
託児:要予約(満2ヶ月~、有料)
問合せ・申し込み先:TEL 045-910-5700(1月11日より受付開始)






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コメント

復帰準備講座のレポート、3回分楽しみに読ませて頂いていました。とても詳しく書かれていたので、まだ子どもが乳児でまだ歩き回れない私にはとても参考になります。
復帰するとつい他の人と比べてしまい、自分の制限の多さにくさってしまいそうですが、うまく折り合いをつけて家族と楽しく、仕事も楽しくできるとよいですね。ありがとうございました。

Posted by: あきのり at 2007年01月12日 15:35

決定のファクターとなる3点。ごもっともです。深く頷きました。私は、一年半前に派遣として今の仕事を選びましたが、いつもは嫌で仕方ない義父母との同居が、仕事をして行く上では、とても役に立ちます。
★子どもが病気になっても家で診てもらえる。
★残業があっても、家に義父母がいるので子どもが一人になる事はない。
★不妊だったし、もう二人目は産めない。・・・^^;

今まで仕事を続けて来られた事、そして、また仕事に就くことが出来た事、それは、(嫌でたまらないけれど)、義父母と同居していたからだと思います。

スタッフの中にも義父母と同居している人は少なく、このサイトを訪れてくださる方の中にも、同居されている方は少ないようですが、「子どもの事を心配せずに仕事に集中できる。」という点では、同居が高ポイントだと思います・・・・(←この・・・にこめられた無言のニュアンス感じてほしい・・・)

「私の働く5つの理由」・・・よく考えて、私も手帳に書き込んでおこうと思います。いくさん、とてもためになる記事、ありがとうございました。

Posted by: こむぎ at 2007年01月17日 00:09

職場復帰も 仕事場によりけりでしょうけど わたしの妹のように子供2人 出産して5年休みまた元の仕事に復帰してますけど 大手の企業ではありますけど 特別優秀でもありません。 
上司や 会社との話し合いを何度もしたそうです。

復帰講座を受けるの良いでしょうけど 復帰できるように上司 会社で話し合いや努力も必要でしょう。

Posted by: はな at 2007年01月18日 08:30

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