ワーキングマザースタイル「うつ」の家族との接し方




2007年09月23日

「うつ」の家族との接し方

Posted by 本田いく

前回は、「うつのおかーさんの休養法」を書きましたが、今回は、「接してもらう側」として、「うつの家族との接し方」について書きたいと思います。

これについては、症状や個人の行動認知思考法によって百人百様なので、一般論として語るのは非常に難しいのですが、自分や周囲を見ていて感じたことをご紹介します。

●まず、自分が引きずり込まれないよう、適度に距離を置こう
これ、すごく重要です。
「ウツ」だけに「ウツるんです」なんて寒いギャグを飛ばしたくなるくらい、ネガティブな感情と言うのは、周囲の人間に伝播します。特に、ウツ症状にある人というのは、ネガティブ思考になっているので、「優しくしてくれる人」に依存する傾向があります。
夫婦といえど、「ウツ」の人に依存されるとしんどいです。最悪、共依存で二人でぶっ倒れます。
「心配してるよ」というサインは出しつつ、適度に距離を取ることを守ってください。

で、そのためにお薦めするのが、前回のエントリーの裏返しになりますが

●籠もれる場所を用意してあげる
「巣」を作ってあげましょう。どこか一部屋、布団を敷いて、相手が好きなものを全部そこに集める。相手がダメダメ気分なときは、そこからトイレと食事以外は一歩も出なくて良い環境を用意する。そして、ソコには、週に一度、掃除くらいしか踏み込まない。
食事は、できれば三食用意してあげてください。手をつけないこともあるかもしれませんが、一応用意しておくことで「心配してもらえている」というサインを相手が受け取ることができます。
「自分にとって大切な人が、自分のことを心配してくれている」というのは、ウツ症状の悪化をストップさせるのに、大きな役割を果たします。
ただ、言葉でコミュニケーションをとろうとすると、相手はネガティブモードなので、妙な揚げ足を取ってきたりしますので、態度で表すほうがお互いストレスが無いのではないかと思います。

●話かけてきたら、相槌だけうってあげよう
繰り返しになりますが、「ウツ症状」にあるときは、「自己否定モード」に入っていることが多いです。なので、自分の発言に対し、無視されたり、反対意見を述べられただけで、「全否定された」くらいに拡大解釈してしまうことが多いです。・・・ああ、なんてメンドクサイ(溜息
なので、相手が話しかけてきたら、「うん、うん」と聞いてあげて、話の内容に応じて「辛いね」とか「疲れたね」とか、共感の言葉を投げてあげてください。

●主治医に話を聞きに行こう
医師によっては、本人が同席していないと、家族であっても話をしない、という先生もいれば、本人抜きで家族に症状を説明します、という医師が居ます。まずは、主治医に連絡を取って、「家族として、症状と過程での対処法を聞きたい」旨を伝え、一度通院に付き合うか、別枠で時間を取ってもらうか、とにかく主治医に話を聞きに行きましょう。
一人で「どう対処していいものやら・・・」と悩むより、専門家の意見を聞くほうが絶対早いです。
また、「主治医に話を聞きに行く」という行動自体が、相手にとっても「心配されている」というサインになります。

●なぜ、「心配されている」というサインが必要なのか。
「ウツ病」「ウツ症状」で、一番怖いのは、よく言われていることですが、「自傷衝動」と「希死念慮」です。
早い話が「リストカットしたい」とか「自殺したい」という衝動です。
「ウツ病」が死に至る病になりうるのは、この二つの衝動が存在するためです。
うつ症状が非常に重いときは、「自傷衝動」も「希死念慮」も強いのですが、立ち上がる気力すらないので、実行に移すことはまれです。が、抗ウツ剤などが効き始め、やや元気になり始めたときが一番危険です。

何故そういう衝動に駆られるのかは不明ですが、この衝動は、ソーダ水を入れたグラスの内側についた泡のように、プツリ、プツリと不意に浮かんできます。

うつ症状が重いときは、注ぎたてのソーダ水のようにプクプク泡が浮いていますが、症状が軽くなるにつれ、衝動に駆られることは減るかわりに、グラスの底に張り付いていた最後の泡が浮かんでくるように、不意にプクっと浮かんできます。

この衝動を止める大きなストッパーになりうるのが「自分は、愛され、必要とされている」という自覚なんだと思います。

●治りかけと明け方は、目を離さない
脅かすのは不本意ですが、年間自殺者数3万人という数字を考えると、書かざるを得ません。
SSRI(セロトニン再取り込み阻害剤)が効いてくると、少しずつ気力・行動力が出てきます。しかし、これは飽くまでも投薬治療の結果であり、根本的な解決をしているわけではありません。よって、いつ、再び「希死念慮」が襲ってくるかはわかりません。

気力が出てくると、それまで動けなかった分を取り戻そうとして妙に活動的になり、その反動で疲れてまたウツ症状に陥る、ということが良くあります。

そういうときが一番危険です。こればかりは、どう対処すればいいのか、私にもよく分かりませんが、相手が出かけるときに「必ず帰ってきてね。待ってるからね」と、一言声をかけるだけでも、もしかしたら、抑止になるのかもしれません。

●最後の手段、療養入院
これも前のエントリーで書きましたが、「ウツ病」「ウツ症状」でも、「内科に療養入院」ができます。
家族のウツで、ご自身が疲弊しそうになったら、本人と主治医と相談の上、何日か入院してもらいましょう。そして、その間に、生活と自分を立て直しましょう。

●「頑張れ」は禁句なのか?
これも個人差はありますが、原則的に言わないほうが無難です。
少し治りかけて、復職して、会社で「頑張れよ」と言われれば、「オレにもまだ居場所がある」と思う場合もあるかもしれません。しかし、家で、疲労感全開のときに家族から「頑張って」と言われると、「もうダメだ」と思ってしまうこともあります。
よって、言わないほうが無難。

過度に気を遣うというより、「とにかく気力がなくて何も出来な状態なので、黙って身の回りのことだけはしてあげる」「わからなくなったら、主治医に聞く」が、良いのではないでしょうか。

また、家事は一切出来ないのに、mixiやブログ、趣味のことはできる場合があります。
恐らくこれが、家族にとっては一番ストレスの溜まる状態だと思いますが。

ただ、これについては、「何もできない自分に焦って、とにかく何でもいいからできることをやろう」として、無自覚に無理してやっている場合がありますので、決して責めないで下さい。本人も、「本当にやるべきことは違うのに」と思いながら、やっている場合が多いですから。

・・・と、少しは参考になったでしょうか。
いずれにせよ、餅は餅屋、ということで、家族がウツになった場合は、家族の主治医と、できる限りのコミュニケーションを取られることをお薦めします。

そして、くれぐれもご自身が共倒れにならないように。

今現在、ご家族がウツでお辛い思いをされていらっしゃる方も多いと思いますが、時間をかければ必ず治る病気ですから。無理しすぎず、気を遣いすぎず、相手の「治る力」を信じて、待ってあげてくださいね。






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コメント

ありがとうございます。この記事を宝物にしたいです。

Posted by: 匿名 at 2007年09月24日 01:35

とても参考になりました。
鬱ではないと思いますが、身近なところに妄想壁がひどく、一度とりつかれるとどんどんマイナスモードになり、火のないところに煙をたてて大騒ぎしてしまうということが時々おこります。
主に「自分が狙われている」「財産が狙われている」「夫が他の女性から狙われている」などです。

まわりから見たら「何をバカなことを!」と思うのですが、本人は苦しんでいます。正論で諭してもまるできかないのでどうしたものだろうと思っていました。
自分が間違っていることをわからせようとするより、受け入れて優しくするほうが必要なんですね。でもそれは周りにとってとても難しいことでもあります。

Posted by: RIO at 2007年09月24日 09:35

私の夫も、うつで、2年間医者通いが続きました。この記事、素晴らしいですね!おっしゃるとおりだと思いました。 その頃に読めたなら、苦労が半分ぐらいで済んだのに…残念(笑)。いま同じ悩みを抱えている友人にもこの記事を教えてあげたいです!

私がしていたことは、「適度に距離をおくこと」と「主治医に話しをききにいくこと」(1回だけ)でした。自分に仕事があったので、病気の夫と距離がとりやすかったのかなと。救いでした~。

当時は、いつ抜け出せるかわからないトンネルにいるようで、つらかったです…家族も本人も、主治医を信じて、治るのを気長に待つしかないですよね。

Posted by: ゴリ at 2007年09月24日 13:03

すっごく為になりました。本当にありがとうございます。本当にありがとうございます。

Posted by: 慶子 at 2007年09月24日 22:47

みなさま、コメントありがとうございます。
少しでも、参考になれば嬉しいです。

>匿名さん、慶子さん
こちらこそ、そう言っていただけて、涙が出るほど嬉しいです。ありがとうございます。

>RIOさん
専門家ではない私からは非常に言いづらいことではありますが、RIOさんがお感じになっていらっしゃるように、その方は恐らく「うつ」あるいは「うつ症状」ではありません。「うつ症状」でも、ネガティブモードに入ると、やや被害妄想気味になりますが、それは「私はあの人に嫌われている」「自分は誰にも愛されていない」「自分なんていなくていいんだ」等、内部に向けられることが多く、またそのきっかけは、「メールの返事が無い」「挨拶したのに無視された(気付いてもらえなかっただけ)」という場合が多いのではないかと思われます。

非常に言いづらいのですが、RIOさんの書かれているような妄想を起こす病気は、統合失調症、双極性障害の躁状態、などが考えられます。また、アルコール依存、薬物依存でも同様の妄想が起こります。

この場合は、共感しないほうがいいでしょう。寧ろ「私ではちゃんと話を聞いて上げられないし、答えを出す助けをしてあげられない。話すだけでも楽になるから、一度カウンセリングを受けてみたら?」といった具合で、何とかまずは心療内科もしくはメンタルクリニックの受診をするよう、諭してあげてみてください。難しいことだとは思いますが・・・。

RIOさんが、巻き込まれてあまり疲弊されないことをお祈りしています。

>ゴリさま
2年間、大変でしたね。本当にお疲れ様でした。そして、ゴリさんがご無事で何よりです。

私の記事でお役に立つのであれば、ぜひぜひ、お友だちにご紹介くださいm(_ _)m

また、「家族のうつ」を乗り切った方で、「これはこうした方が良い」「こんな方法がある」など、お知恵があれば是非、ご紹介ください。

何卒よろしくお願い申し上げます。

Posted by: 本田いく at 2007年09月25日 15:30

昨年末自分で死を選んだ後輩を思い出し、涙が出ました。何年も苦しい状況が続き、どうにか会社から脱出も出来て「もう大丈夫だね!」「最近、新しい仕事も始めて元気になったらしいよ!」とみんなが言っていた矢先でした・・・。まさに、最後の大きな泡がポツッと浮かんでしまったのでしょうね。

いつものいくさんの軽やかな文章とは違う、今回の記事。本当に素晴らしい内容だと思います。ありがとうございました。

Posted by: 小梅 at 2007年09月27日 14:57

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