私は小さい頃から「魔女」の本が大好きでした。でも、この本に出て来る「魔女」はちょっと違います。
「私はもう学校へは行かない。あそこは私に苦痛を与える場でしかないの。」と宣言。
ママは困ったけれども観念して「とにかくしばらく学校を休みましょう。」と言い、田舎に住む、ママのお母さん、まいにとってのおばあちゃんの家でしばらく過ごさせる事にします。期間は・・・ええと、たぶん1ヶ月くらいだと思います。その一ヶ月の間の、おばあちゃんとまいの暮らしを書いた本です。
おばあちゃんはイギリス人で、日本人のおじいちゃんと結婚して日本に住んでいます。おじいちゃんは亡くなって今は一人暮らし。このおばあちゃんの暮らしぶりがとてもステキなんです。女の子なら誰もが憧れると思います。
たとえば、サンドイッチを作る時には、庭からレタスとキンレンカの葉を取って来て作る。真っ赤なルビーのような野いちごを、おばあちゃんとまいでバケツ3杯分摘む。そして大鍋二つを火にかけ、片方では野いちごのジャムを作り、片方では空き瓶を煮沸消毒する。その後、その瓶に次々とジャムを詰めて行く。シーツは足で踏んで洗う。干す時はラベンダーの花の上にふわりとかけて干す・・・。
こんな暮らしって夢ではありませんか。私も一緒にまぜてもらいたい!
おばあちゃんとまいは、毎日いろいろなお話をします。ある日、まいは「おばあちゃんのおばあちゃんが不思議な力を持った魔女だった」・・・という話を聞きます。そして「私も頑張ったらその力が持てるようになる?」とおばあちゃんに聞いてみます。おばあちゃんは、「まいには、もともとそういう力があるわけではないので、相当頑張らないといけませんよ。」と答えます。まずは基礎トレーニングから始めましょう、と。
魔女になるトレーニングってどんな事でしょう?おばあちゃんは「まずは精神力を鍛える事。」と言い「早寝早起き。食事をしっかりとり、よく運動し、規則正しい生活をする。」と教えます。・・・そうですよね、まず人間の基本からです。普通の事ですよね。
学校に行けなくなってしまうというまいは、繊細で傷つきやすい心の持ち主。強い意志を持てるようにならなければなりません。おばあちゃんとの暮らしの中で、無理なく自然にまいは成長して行きます。
子どもが学校に行きなくないと行った時、親はどうすればいいのでしょう。「なぜ行けないの!行きなさい!」と怒ってしまうのではないでしょうか。ま、私は厳しいので「あまったれた事言ってないで行きなさい!」と言うでしょう。
・・・でも、一時期学校で3人の子にいじめられていた時(小3の時です)「学校に行くのやだ」と、娘が言った事がありました。その時は「学校に行くとひとつも楽しい事ない?いやな事ばかり?楽しい事がひとつでもあるなら行った方がいいと思うよ。」と言ってみると、「仲よしのお友達と遊んでいる時は楽しいよ。」と言うので「じゃあ行ってみようよ。ね。」と言うと、素直に登校しました。
ま、一応、その時はそれで無事に済みました。
が、学校に行けなくなってしまう子にはいろいろな理由があるのだと思います。それをお母さんではなく、ワンクッションおいた立場のおばあちゃんが、くっつきすぎず、離れすぎず、感情的になりすぎる事無く、絶妙な距離感で、まいの気持ちを理解をし、こんがらかった心のこぶ結びを、ゆるやかにほどいて、まっすぐに直してくれるような、そんな意味のある暮らしのお話だと思いました。
タイトルどおり「西の魔女が死んだ」ところからお話は始まります。子どもを持つお母さんにぜひ読んで欲しい本だと思いました。娘はちょうどまいと同じ中学一年。娘にも読ませようと思います。
映画は6月21日に公開されます。今からとても楽しみです。
わたしもこの本、大好きです。
すごくすごく、心に残る本ですよね。映画もぜひ見に行きたいな。
学校に行けなくなるというのは、本当に大きなことだと思います。それを少しずつ少しずつ、それほど大きなことではなくて、そんなに特別なことではないと言う逃げ場みたいなものを、さりげなく提示できる人。そういう人を大きな人と言うのかなと、この本を読んで思いました。わたしもそういう大きな人になりたいなと。
素敵なお話ですねー!
私は女の子チックな物語は正直苦手なので、(前世は男だと思うよ、きっと、雑だし)この本は知りませんでした。
でも、人生半ばを過ぎると、自然と一緒に、ゆっくりと生活を楽しむ、ということを自分でもやってみたくなりました。ラベンダーの上にシーツを干すなんて気持ちいいですねー。
そういう暮らしの中から自分の足で生きていく、っていう学びを得られるんだと思いました。
素敵な本を紹介してくれてありがとうございます♪
この本、図書館ではずーっと貸し出し中で・・・この書評を読んで、買う決心がつきました。
帯に「最後の3ページ、涙があふれて止まりません。」って書いてあって、早くその部分にたどり着きたいけど、いつまでラストを迎えずに読み続けていたい、複雑な思いを抱きながら、一気に読みました。
素敵なお話ですね~! ふだん、小説を読み返すことって、ほとんどないんですが、この本は、手元に置いて何度も読みたいです。
子どもが小さいので、いじめや不登校については、まだリアルな問題として感じられないのですが、母親を愛しつつも母とは異なる生き方を模索する三世代の女性の女性の姿など、誰もが共感できるテーマも描かれていますよね。
あと、私ごとですが、うちの母が「西の魔女」っぽい人なので、もっとたくさん遊びに行って、魔女孝行&魔女修行をしようと思いました。
らむねさん
この本のファンでしたか!ほんといいですよね。この本。母親だと近すぎて、うまく行かない事も、おばあちゃんだと、もっと大きな心で包んであげられたりするのかも。この本を読めば、今より少し余裕を持った心で子どもに接する事ができるかも・・と思いました。
でぼらさん
薄い本だし、行間も広くて、すぐに読めるんです。私も家では広報が忙しかったので、通勤の電車だけで読んでました。ぜひぜひ読んでみてくださいね!
まいは「ラベンダーの上にシーツを干したら汚れない?」って心配するんですが、「干す前にラベンダーに水をかければ大丈夫なのよ。」っておばあちゃんが言うの。生活の知恵だあ!
るかさん
すばやい!すぐに読めますよね!
>母親を愛しつつも母とは異なる生き方を模索する三世代の女性の女性の姿など、誰もが共感できるテーマも描かれていますよね。
そそ!さすが!るかさん!
ちょっと冷たい(←と表現するのは語弊があるけど)ハーフのワーキングマザー役は「りょう」さんがやるのでぴったり!と思いました。バリバリ働いてお料理が下手なおかあさん。自然の中で文明の力に頼らずに生きるおばあちゃん。傷つきやすい心を持ったまい。それぞれの三世代ですよね。
おばあちゃん役の人はシャーリー・マクレーン(私も名前しか知らないけどアカデミー賞女優)の娘という人で、すごく雰囲気が魔女っぽい。ゲンジさんはキム兄。で、まいのお父さんがたぶん大森南朋。配役はぴったりですよね。まいは新人の子。主題歌は「ゲド戦記」の曲を歌っていた手嶌葵。
今からとても楽しみ。
清里の清泉寮近くにこのお家が公開されているそうなので、ぜひぜひ行きたいと思っています。
るかさんの魔女っぽいおかあさん、いいなあ!魔女修行して来てね~!