前回、今時の就活についてこんな感じでキビシイよ〜と書きました。
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さて3月も後半になり、12月ごろにエントリーシートを出してスタートしたもので、残っているものがそろそろ終盤の面接に差し掛かっています。ある役員面接では「あなたがこの会社に入ってどんなメリットをもたらせるか、あなたの価値を分かるように具体的に説明してください」というようなことを聞かれたそうです。
コレ、よく考えると大人だってなかなか答えるのが難しいと思いませんか?
「やる気があります」とか「御社事業に興味があり自分にあっていると思います」とかいう抽象的なことではなく、何が貢献できるのかを自分のブランディングを踏まえて説明しなくてはならないのです。
他の人ではなく自分が採用されるべき理由、自分でなくては貢献できないこと・・・・うーんこれを社会経験が少ない学生が答えるのはとても難しいですよね。深くその会社の事業や理念を理解し、現在の社会状況や経済状況も考えた上で、自分をの持てるものをいかにアピールできるか・・・。
当然「言葉による伝達のスキル」が必要です。
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何も考えていないでただただ受身でやってきた学生にまともな答えが出せるとは思えません。
モラトリアムの状態からいきなり就活で厳しい社会の現実をつきつけられるわけです。
その意識の格差は大きすぎる気がします。ボロボロ落ちるわけですよね。
娘もこれまでの人生で最大と言っていいほど、日々頭を悩ませています。
「もう、頭がパンパン」で、毎日のように面接の夢(それもたいてい悪夢)を見てうなされるそうです。
それでも本当に優秀な学生、企業側が望む答えを出せる学生はいるんですよね。
有名大学の生徒でも落ちまくりますが、やはり残れる学生に有名大学の生徒が多いことも事実です。
「学校名」で残っているということもあるかもしれませんが、本当に「考える力」があるのがやはり有名大学に入るまでのハードルをクリアしてきた子に多いということなのだと思います。
どこかのコラムで読んだことですが、「「あなたは学生時代何を頑張ってきましたか?」という質問に対して2流3流といわれる大学の学生の多くは「アルバイトを頑張ってきました」という答えが多いのに対して、1流大学の学生ほど自分を磨くための努力をしてきたと答える」とあり、妙に納得してしまいました。
「じゃあ2流3流大学だったらスタートラインにもたてねーじゃん」と投げやりになる学生もいるでしょうが、それは少々短絡的だと思います。(ちなみに娘もある意味かなりマイナーな新設大学の学生です)
学校名にかかわらず、社会や経済について知ること、自分を磨くことはいつからでもできます。
要はその「気付き」がいつあるかということだと思います。
一夜にして身につくことではないので、就活がはじまってからではちょっと遅いと私は思っています。
できれば子供のころから無意識のうちにも「考える力」を養い、「自分の言葉」として表せることが習慣づいていることが望ましい、そうでなかったとしても少なくても大学に入学した時点から、この問いを意識して「自分と社会」について考えておくことは必須だと思います。
もちろん就活のために学校生活を送るのが良いと思っているわけではないです。でも求められるものを意識して過ごすのと何も考えないで過ごすのとでは3年間で大きな開きがでると思いませんか?
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思考力低下が著しいといわれる今の学生、ケータイの普及(1行メールなど)による安易なコミュニケーション、一般受験でなくAO受験や指定校推薦など本来の学力勝負でない受験体制が主流になりつつある現状、若者の活字離れ、TVでは同じようなバラエティーばかり、こういった社会現象の中で思考力を育てるのは努力ナシではできません。
思春期・青年期になれば、本人次第、学校任せ、塾任せになりがちだと思いますが、まだまだそこに親の働きかけが必要だと思っています。家庭でニュースを見て親子で一緒にその内容を話題にできたり、父親や母親の仕事の話を子供にも伝えたり、「これは読んでみるといいよ」と本を薦めたり、一緒にいい映画や音楽、美術、旅行などを楽しんだり、少し大きくなったからこそできることはたくさんあると思います。そういうのは過保護とも過干渉とも言わないですよね。
とにかく子供のときから継続し続けたほうがいいのは言葉に出して話すこと、小学校の高学年にもなるとだんだん話をしなくなったりする子も出てきます。中学校・高校ではなおさらですね。特に男の子は多くの場合あまり積極的に話さなくなるケースが多いようです。でも子供は本来親に話を聞いてもらいたいので、そこでちょっと意識的に会話を引き出す努力をして、いろんな話題を振ってみるといいと思います。
会話は訓練により上達するものです。話さないのが当たり前になってしまうとどんどんボキャブラリーは少なくなります。
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少し話がそれましたが、就活に必用な「人間力」のひとつは、言葉でのコミュニケーションであり、それは、子供が難しい年頃になっても良好な親子関係の持続できること、親子間での会話が失われないことで自然と訓練されます。できればひとつの事柄についてお父さんやお母さん、兄弟の意見も聞いて家族でディスカッションするのが理想です。だんだん習慣化してくると、子供のほうからも議題を持ってきて「今、学校でこういうことがあるんだけれど、ママはどう思う?ママの時代はどうしていた?」などと聞いてきます。
今回は就活の工程を詳しく話す予定が、言葉のコミュニケーションのことになってしまいました。
次回またちょっとまとめてみますね。
最後にひとつ、先日心理カウンセラーの方のセミナーに参加して聞いたことですが、話を聞くスキルとして「アクティブリスニング」というものがありますので、受け売りですがちょっとだけその時のメモを紹介しておきます。
ちょっと子供との会話が少なくなっているなーと思われる方は一度やってみてくださいね。
アクティブリスニングは能動的に聞く、積極的に聞く姿勢ということなのですが、方法としてはこのような感じです。○普通のリスニングの場合
うなずく
あいづちを打つ○アクティブリスニングの場合
上記
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オウム返しする(繰り返して言う)
長い場合は要約して繰り返すこの繰り返しをすることで相手は自分を深く理解してもらっている、しっかり受け止めてもらっているという気持ちになる。また「あなたが言っていることはこういうことですよね?私の理解に間違いありませんか?」という確認の意味合いも持つ。
はじめは先生も「ただオウム返しで言うなんてどうなんだろう?コミュニケーションとして不自然でないか」と思ったそうです。でも実際やってみるとすごく効果があり、相手がどんどん話をしてくれるようになるそうです。
相手の言葉を繰り返して言っているだけなのに「なんであなたは私のことをそんなにわかってくれるの」と言われたことも幾度かあるそうです
そして「共感」のメッセージはさらに相手の気持ちをほぐします。
「あなたは****な風に思っているのね、あなたは***で大変だったのね」
ここでの主語はYouです。似た言葉に「同感」とか「同意」というのがありますが、これは主語がIです。
「あなたの話を聞いて私もそう思うわ。実は私も***なこと悩んでいるのよ」という風になってしまうと、相手からしてみるとちょっと違う方向に行ってしまう。
相手は「あなたがどう思うか」を聞きたい場合もあるかもしれないけれど、まずは自分の話をちゃんと聞いて欲しいと思っているので、早い段階で話があなた側のことになってしまうとそれ以上話す気がなくなってしまう。相手の話を十分に引き出すには、自分の感情をコントロールしながらあくまでもYouに主語をおくことが大切です。
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