いつも行くシネコンで、この映画のチラシや、宣伝用の新聞を読み「公開されたら絶対に観よう!」と思っていました。
観たいと思ったポイントは
1・大好きな香川照之さんが出ている。
2・地図を作るために険しい山に登るお話らしいが、空撮・CGは一切使っていないらしい。
の二つ。
★あらすじ★
★みどころ★明治39年、陸軍陸地測量部の柴崎芳太郎(浅野忠信)は、日本地図最後の空白地点を埋めるため「陸軍の威信にかけて、劒岳の初登頂と測量を果たせ」という厳命を受ける。妻・葉津よ(宮あおい)の励ましを受け、柴崎は前任の測量手・古田盛作(役所広司)から紹介された案内人の宇治長次郎(香川照之)と劒岳の調査のために山に入ったが、登頂の手がかりすらつかめずに下山する。
翌年、測夫・生田信(松田龍平)らを加えた測量隊総勢7人で雄山、奥大日岳、別山など劒岳周辺の山々に三角点を設置。ついに劒岳に挑むが絶望、雪崩、暴風雨、困難に告ぐ困難が測量隊の行く手を阻む。
一方、創立間もない日本山岳会の小島烏水(仲村トオル)らも最新の登山道具を揃え、劒岳山頂を目指していた。
果たして柴崎たちは、無事劒岳山頂に立ち、地図作りの任務を果たすことができるのか。(劒岳宣伝・北日本新聞特別版より)
「劒岳」という山はとにかく険しい山らしい。この映画の中でも、陸軍陸地測量部の柴崎芳太郎(浅野忠信)の前任者、役所さんは5年前の担当時、「劒岳」の登山口さえ見つけられずに登頂を断念したと話す。山の事などなにも知らない私から見ても、とても登るのがむずかしく思えた。
この映画を撮るため、その山に、登山家ではない俳優さんが登る。もちろんたくさんのスタッフも登る。ものすごい量の機材も運ぶ。すごすぎる。ワンカットを撮るために9時間かけて山を登る。天候の回復をひたすら待つ・・・という事もあったそうです。
この映画を撮る時、監督は「これは撮影ではない。『行』である。」と言ったとの事。確かに生半可な気持ちでは出来ない。「俳優だから演技だけすればいい。」というわけには行かない。演じるためには山を登らなければならない。私は、この映画に「男たちの情熱と力」を見ましたね。
ストーリーももちろん素晴らしいのですが、俳優さんがそれぞれ素晴らしかったです。
主役の浅野忠信さん・・・浅野さんの映画ってあまり観た事ないのですが、現在公開中の「鈍獣」とか、ドコモのCMの浅野さんとか、「かっこいいけどコミカル」なイメージがありました。2008年には、浅野さんがチンギス・ハーン役で出演している映画「モンゴル」がアカデミー賞外国映画部門にノミネートされました。私の勝手なイメージとは違い、実力派・正統派の俳優さんなんですね。
この映画の浅野さんは、姿勢や立ち居振る舞い、言葉遣いがとても美しいです。「ありがとうございます。」「申し訳ありません。」「お願いします。」・・・ごく普通の言葉ですが、今、きちんと言える人が減っていますよね。道案内の長次郎相手にも、決して偉ぶる事無く、あくまでも低姿勢。とても魅力的でした。
また山に入る前のニコニコすべすべの浅野さんと山を経験したあとの浅野さんでは、表情もまったく違い、この映画の中のお話が意味するもの、またこの映画自体の撮影の厳しさを感じました。
香川照之さん・・・この人ってすごいです。どの役をやっても完璧です。この映画の長次郎は、とても腰が低く、どんな時でも自分よりも人の事を考え優先させる優しい人、そしてとても意思の強い人でした。「謙譲」を絵に描いたような人でした。
浅野さんと香川さんは、この映画で「日本人の美しさ」の象徴のようでした。そして、この映画では、日本の四季の風景が美しく撮影されていました。それはかつての名作映画「砂の器」の放浪シーンを思わせるような素晴らしさでした。
松田龍平さん・・・ベテランお2人は、もちろん、若手である松田さんも生き生きとしていました。最初は若さゆえ、とんがっており性急ですが、険しい山に登り、いろいろな人と触れ合って、大人の男へと成長します。
劒岳宣伝・北日本新聞特別版のインタビューで、香川さんは
「これほど理屈じゃなく感動した映画はない。自分の可能性を押し広げてもらい、最もかけがえのない、最も記憶に残る一本だった。この一本を超えるために残りの俳優人生があるとも言える。」
と語っています。
香川さんはじめ、この映画にかかわった全員の「渾身の作品」、ぜひ、みなさまご覧になってください。★唯一、わたし的に残念なところは、浅野さんの妻役が宮崎あおいさんなのですが、年齢的にちょっと合わない感じがしました。香川さんの妻役は鈴木砂羽さんでしたが、彼女が浅野さんの妻役でもよかったのでは?とちょっと思いました。うーんと、檀れいさんでもよかったかも。
★私、長々と書いて来ましたが、この映画の感動ポイントについては触れていません。いろんなシーンで号泣しました。(←私、いつもかなり泣きすぎですが。)みなさまも、ぜひ泣いてください。
舞台あいさつで、浅野さんと香川さんが、撮影のために5時間登って、1時間くらい撮って、5時間かけて下山する毎日でした、といっていてビックリしました。この映画に出ている俳優さん、半端じゃないですよね。
香川さん、私も昔から好きです。味がありますよね。あと、浅野さんは奥さんのチャラさんとツーショットのとき、「もう歌はやめたほうがいいよ」とつっこまれていて、その時のはにかんだ笑顔がとってもよかったのでファンになっちゃいました。
いい映画なんだねー。観てみようっと。
こんばんは!
香川さん,やっぱり素晴らしかったですね。
私はこの映画で浅野さんを初めて観たのですが
なかなか好みです♪
おっしゃるように,香川さんと浅野さんのキャラは
古きよき時代の日本人の美徳を体現しているようでした。
彼らの生きざまの美しさと,大自然の美しさ・・・
相互に作用して,とても凛とした清々しい作品になっていましたね。
しかし,役者というのは・・・体力仕事でもあるんだなぁと
今回しみじみ痛感。
コメント、ちょー遅くなってすみません。
でぼらさん
もう観たかな?
この映画に出ている人、すべてが豪華でキャラが立っていてすばらしい。
周りで観た人の感想を聞くと「最後があっさりしすぎ」との意見もありますが、私は充分でした〜。
ななさん
トラックバックありがとうございます。
なんか「謙譲の美学」を見た気がしますね〜。
景色も含め、日本ってすばらしい ! と思いました。
しっかし、演技する場所までヘリで運んでもらえるわけではなく、「劔岳」を地で行く感じですよね。スタッフの人も本当に大変だったと思いますね。だから「肩書きなし」のエンドロールは「みんな平等な仲間」と思えて泣けました〜。