【rie的きらりの本】2009年私のベストはこの本!小説を読んでいて、主人公以外に妙に気になってしまう人が出てくることってありませんか?主人公に影響を与える一言を発した人はどんな毎日を送っているんだろうと知りたくなったり。
毎日の生活の中で接する「お店の人」「町のお医者さん」も友達や家族の前では全然違う顔を見せているんだろうなと想像してしまうこともたまにあります。
そんな気持ちをたっぷり満足させてくれたのが伊坂幸太郎著終末のフール (集英社文庫)今年出た文庫本で初めて読みました。
これから子供を持つ人、すでに子供がいる人、断絶した親子などなど様々な人々を描きだした短い小説が並んでいます。前の小説にちょこっと顔を出していたビデオ屋さんの店長さんが最後の小説では主人公になっていたり、違う小説で恋に落ちるか?!と思った人のその後がさりげなくわかったりと一つひとつの小説の面白さもさることながら、細部もとっても楽しめました。
小惑星が衝突して地球が滅亡する日まであと3年というかなり絶望的な状況下での小説なのですが、どういう時であっても人は自分ができることを精一杯、たんたんとやっていくしかなく、その中に希望もあるのだと思いました。
「地球滅亡」という事態をつきつけられても感じることは人により本当にさまざま。絶望する人もいれば、ふんぎりがつく人、逆に喜ぶ人、全く変わらない人。
一つの物事が起こった時、自分の感じ方がすべての人の感じ方ではない。違う受けとり方をする人もたくさんいる。そういう当たり前だけど忘れがちな実感を、小説という心に入り込みやすいかたちだと改めて感じることができました。
趣向がこらされていて、「真実」を含んでいる。こんな小説をいつか書いてみたいです。
年の瀬、みなさまもお忙しいと思いますが、どうぞよい年をお迎えくださいね。
(2009.12.31 一部わかりにくい文章を直しました)