まだまだ様々な状況が落ち着かない日々。久しぶりにスピリチュアル・ライフのすすめ (文春新書)(樫尾直樹著)を手にとりました。
筆者は宗教学が専門の慶應義塾大学准教授。というとかたそうだな、と思う人がいるかもしれませんが、やわらかい語り口で昔から行なわれてきた呼吸法や座禅などの効用をわかりやすく納得させてくれる書です。
「私たちは、現在、自由な世界に生きていると思われているが、それは幻想で、じつは私たちがかろうじて唯一自由にできることは、厳密に言って、呼吸しかないのである。」と言い切る樫尾先生。
「恋愛も勉強も、結婚も仕事も、家族のことも、これまで自分の思い通りになってきたでしょうか?」とたたみかけられると、うーんなるほど……とうなってしまったりして。思い通りにすべて進むわけではないのが人生。となると、それをどう受け止めていったらいいのか、ということが大切になってきます。
その時に心の平静を保つのに役立つのが呼吸法や座禅。樫尾先生が毎日祈りやヨガも含めどう実行し、どう体と心が変わっていったかが実況中継のように書かれています。かかとがかたい私は続けていくうちに柔らかくなったという記述がかなり気になりました。
本を読んでここまでの語り口が柔らか過ぎる、と思った方もスピリチュアルの原理を研究家ならではの視点で明快に定義し、心の不安につけこむ悪いスピについて言及した第三章以下を読まないのはもったいない!そして、第四章では育児にも応用できるスピリチュアルな心の持ちようと実践を教えてくれます。
呼吸法や座禅によって自分を磨いていけば人生の問題が解決する、というわけではありませんが、「解決しやすくなるような精神状態をつくることができる」と期待して、私も少しでも心を静かに保つ時間を持ちたいと思います。まずは祈りの時間から。