ワーキングマザースタイル子どもが重い病気にかかった時・その5・「娘の気持ちと母親の役目」




2011年06月15日

子どもが重い病気にかかった時・その5・「娘の気持ちと母親の役目」

Posted by 湯河原こむぎ

前回の記事から1ヶ月以上もあいてしまい、申し訳ありませんでした。湯河原こむぎです。

その1〜4までで発病から転院など、概要について書いて来ました。

中3でこのような難病にかかった娘。本人の気持ちの動揺ははかり知れないものがありました。母親である私がついていてもどうにも出来ない時もありましたが、母親がついている事で安心できたり、私に反抗する事で気持ちが落ち着いたり、気持ちのゆらゆらのふり幅を少し抑える事が出来たのではと思いました。

ぶつかったり泣いたり怒ったり悩んだり、そして笑ったり。いろんな日々がありました。

娘が病気になった時。
「どうして私ではなかったのか」「替わってあげたかった」と何度も思いました。でも日々を過ごすうち、私自身がこの病気になって、受験生である娘や毎日仕事を休むわけには行かない夫に迷惑をかける事の方がつらいのでは?と思うようになりました。どんな事も二の次にして、私が娘を助けてあげられてよかったという気持ちになりました。自分が娘に助けてもらうより、娘を助けるために何でも出来る事が大事で、支えることが出来てよかったと思いました。言葉にするのはむずかしいのですが。いろんな事は二の次にして、全力で私が娘を助ける!と思いました。

もし、今、お子さんが病気で「どうして元気に産んであげられなかったんだろ。私が変わってあげられたらいいのに。」と悩んで泣いている方がいらしたら。

その気持ち、ほんとによくわかります。ほんとにほんとにわかります。「元気に産んであげなかった私のせいだ。」って思っちゃいましたから。私も。
でもでも、そう思っていても何もかわらないので「私が全力で支える!」と気持ちを切り替えて前に進みましょう。絶対に出来ます。おかあさんパワーって自分が思っているよりもずっとずっと強いです。B型でちゃらんぽらんな私にも出来たから!



★娘の気持ち★
中三の10月に入院した娘。実は次の日から中間テストでした。中三だし、もちろん目標にしている高校がありました。「どうしよう、中間テストうけられなくて。中三の二学期の成績が大事なのに。」と毎日不安になっていました。

★母親の役目★
娘はとかく「入試まであと4ヶ月しかないのに」と口にし、不安を募らせていました。もちろん私も不安でしたし、言ってみれば本心では私の方がずっとずっと不安でした。娘が考えている事よりも、大人はもっともっと先の事まで見据えなければいけないからです。

でも二人で暗くなっているわけには行かないので「えー、まだ4ヶ月もあるじゃん。全然平気だよ〜。」と口では言う事にしました。口に出す事で前を向いて顔を上げて歩いて行けるような気がしました。



★娘の気持ち★
C病院では、トイレの介助は私がしていました。体のどこにも力が入らない40キロのぐにゃぐにゃの娘をベッドから車椅子に移して、車椅子でトイレに連れて行き、便器に座らせ、終わったらまた車椅子に移して部屋に帰っていました。それはそれは重労働でした。

D大病院に移ってからは、すぐにICUで大がかりな治療が始まったので「バルーン」というものをつけました(尿道に管を入れて、ベッドの横のビニール袋におしっこを貯めるアレです)。ICUから個室に戻ってからもずっとバルーンをつけていました。

バルーンがついているとやたらに動けない。C病院では電動車いすでどこにでも動いていたのに・・・と、娘にも不安と不満がありました。

ある日、病室に行くと、いきなり娘が泣き出しました。「おかあさん、オムツしなくちゃだめだって〜。さくら、やだよ、オムツなんて。C病院ではちゃんとトイレでしてたのに。」と泣いています。

★母親の役目★
私もD大病院に来てからずっとベッドに寝たきりなのがとっても気になっていました。C病院では電動車いすに座らせてあげれば、手先は使えるので、自分で車椅子のレバーを自在に操作して、私と一緒に病院の敷地内のどこにでもお散歩に行けました。そして、出来る事から少しずつリハビリもしていたので、毎日あちこち動き回っていました。

その日、娘が「バルーンはいつはずせるのか」と質問したところ、「はずしてもいいんだけど、まだ体がぐらぐらなのでトイレに行くのはむずかしいから、バルーンをはずすならオムツを使うようになるわね。」と言われたようです。

私と娘は「C病院ではおかあさんと一緒にトイレ行けたのにね!どうしてオムツしなくちゃいけないんだろう!?」と二人で憤慨しました。「もし『人手不足』が理由でオムツをしろって事だったら、おかあさん断固反対するからさっ!」と言いました。

「オムツ」って人のヤル気をものすごくくじくものだと思うんですよ。もちろん「オムツをするしかない状態」の時は本人も納得すると思うんですけどね。ついこの間までちゃんとトイレに行っていたのに、今は管をつけられて、ベッドから動けず「管を取ってほしい」と言ったらオムツをしなければならない・・なんて。

いつもよくお話を聞いてくれる女医のE先生。先生に聞いてみました。もちろん最初から憤慨しながら言ったら台無しです。「オムツを用意するように言われたって言うんですけど、それはどうしてでしょうか?」とやんわりと切り出しました。

先生は「この間の治療もうまく行って、今は良い方向に向かって来てはいます。ただ、まだ今は体がグラグラで、首の筋肉もかなり弱っています。首には大切な神経が通っています。筋肉は再生するけれど、神経は一度壊れたら元には戻らないので慎重にしたいところです。せっかく治療がうまく進んでいるのに『オムツはイヤ!トイレに行きたい!』という理由だけで無理をして、大切な神経を傷つけて、取り返しのつかない事にはしたくないのです。」と説明してくださいました。

それを聞くと「なるほど〜。そんな重要な理由があったのか〜。」と納得しました。それからも先生はわかりやすく、今の状態についていろいろな話をしてくれました。先生がいなくなってからも二人で話し合い「一生オムツなわけじゃないからさ。少しの間だけ我慢しようよ。」という結論を出しました。

次の日、娘のところに行くと、進展があったことを明るい笑顔で私に教えてくれました。

午前中にE先生と、いつもとってもさくらの事を考えてくれるベテラン看護師のFさんが来て、三人でいろいろと話し合ってこれからの事を決めたとの事。

◎車椅子用のトイレまで移動するのは大変だから、お部屋にポータブルのトイレを置いてそこでさせてくれる事になりました。
◎ただ、その時に首の神経を傷つけないように頚椎カラーをつけて移動することになりました。
◎体がぐらぐらなので、トイレに移動させる時は、看護師二人がかりで行う。なので、夜間など看護師が少ない時、また、他の子の処置などで看護師二人が来れない場合はオムツで我慢してもらう時もあると思う。そのため、保険?としてオムツはつけてもらいたい。

・・・と、こちらの意見と看護師さんたちの要望でうまく折り合いをつけて、娘も納得の行く方法を取る事が出来ました。



★娘の気持ち★
またまたある日、病室に行くと「鼻からチューブ入れるって〜」と泣いています。

なになに、どういう事?と聞いてみると・・・

筋肉の病気のため、あらゆるところの筋力が衰えている娘は口を開けたり、噛んだり、飲み込んだりする事も大変で、食事が思うように取れていませんでした。この病気になってから、一度も吐く事はなかったのですが、口が思うように開かないので、たとえばプチトマトも入らないし、ハンバーガーをかじれるくらいに口を開ける事もできません。飲み込むのもいちいち「ごっくん」と決心して飲み込んでいるような状態でした。うまく飲み込めないと咳き込んだりして苦しそうでした。

なので、お腹は空いていても、いつもと同じ量は到底食べられず、食べているうちに疲れて来てしまい、出された食事は多くて半分食べるのがやっとでした。出来るだけ食べやすくしてある刻み食(全部が小さなさいの目切りになっている)やゼリー食(全部がゼリー状になっている。お茶さえも!)でも半分食べるのがやっとでした。

そしたら痩せてくるのが当然の結果です。病気前、40キロだった体重が29.7キロまで落ちました。手も足もほそほそで、肩は骨がとがっていました。

★母親の役目★
またまた女医のE先生に詳しく話を聞いてみると「これ以上痩せてしまうと生理も止まったりするので、頑張って体重を増やしたいのです。さくらちゃんも頑張って食べてはいるんだけど、それだけではなかなか足りないのです。ICUに入っていた時に一度飲んでもらった高カロリーのドリンク、あまり好きじゃなくて飲めなかったから、それを鼻からチューブを入れて直接胃に入れる方法を取ってみようかと。」との事でした。

その話し合いをしたのが金曜日でした。「土日はなんにもしないよ。だからその間にさくらちゃんが食べられるものならお菓子でもなんでもいいからいっぱい食べて、少しでも体重が増えて来るようだったらチューブは入れなくても大丈夫だよ。」とやさしく言ってくださいました。

そして、先生は病人用のいろいろな高カロリー食品の見本やパンフをくださいました。その中に病人用のパンナコッタもありました。これは紙パックに入っていて、そのまま冷蔵庫で冷やし固めて食べる事が出来ます。1グラム2キロカロリーというありえない高カロリーで、一般人の元気な私達は絶対に食べてはいけません・・・^^;

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そのままでも食べられますが、パックごと湯せんにかけて一度とかし、カラメルを入れたもの、ブルーベリーソースをかけたものなどアレンジして、かわいい器に入れました。そして、よりカロリーを増やすため+かわいくするために生クリームやチョコスプレーなどで飾り付けをしました。

カロリーを取るためにこんなものを利用しました。
このページの「なめらかプラス マヨネーズタイプ」「なめらかプラス いちごソース(流動食ゼリー用)」「なめらかプラス 甘酢のたれ」
このページの「明治メイバランスブリックゼリー」杏仁豆腐味

今は、いろいろと便利なものがありますね。「病人食=まずい」という式は当てはまりません。

先生のご指導と便利な食品、そして本人の頑張りと母の愛?で、見事に体重を増やし、その後もチューブを入れる事無く過ごす事が出来ました。



入院生活ではいろいろな問題とぶつかります。治療上必要でも15歳の女の子としては、どうしても嫌な事もあります。ただのわがままで「イヤイヤ」するのではなく、こちらの気持ちを充分に話し、そして病院のスタッフの方々の説明もよく聞いて、お互いに納得した上で解決して行く事が大切だと思います。その時に、子どもの「本音」を母親が引き出して「我慢する事」「譲れない事」をあらかじめ親子の間で話合う事が不可欠だと思いました。

そんなこんなで入院の日々は続いて行きます。



子どもが重い病気にかかった時・その1・「始まり」
子どもが重い病気にかかった時・その2・「病名がわかるまで」
子どもが重い病気にかかった時・その3・「入院と付添と仕事」
子どもが重い病気にかかった時・その4・「医療の細分化に驚く」


その6・「医療費と保険」に続く






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コメント

「全力でお嬢さんを支える」というのが具体的にはどんなことだったのか、とてもよくわかりました。
ただ世話をするだけじゃなくて、よくなる方向をいつも見すえながら、心と体のケアをされてきたのですね。
こむぎさんの全力の支えがあってこそ、お嬢さんは元気になれたのだと心から思いました。

Posted by: 山口理栄 at 2011年06月15日 17:11

トイレの問題は本当に難しいですよね。言葉を尽くして説明いただけると納得するケースもままありますが。私も母が入院した時に、ものすごく簡単におむつと言われてかなりびっくりしたことがあります。結局まったくお世話にならずにすみましたが。

今回のコラムでも、こむぎさんがどれだけのことをされたかが本当によくわかりました。ありがとうございます。

Posted by: らむね at 2011年06月17日 02:49

こむぎさんと娘さん、まさに二人三脚で、病気とつらい治療を乗り越えてこられたのがよく分かりました。
こむぎさんが上手に先生とのコミュニケーションをとられたことも、とてもとても大きいと思いますよ!

それと、同じ年頃の娘を持つ身として、娘を一人の大人としてきちんと扱うことが大事なんだなぁと思いました・・まだまだ子供、って思いがちだけど、話せば分かる、理解できる年だし、自分の意思をしっかり持つ年頃ですものね。

Posted by: ふうこ at 2011年06月17日 15:10

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