東京の小学校入試は11月1日から始まります。2月に試験があるかと勘違いしていたくらい小学校受験のことを知らなかった私も、今ではこの直前の時期、親がどんな気持ちで子供の体と心の調子をととのえようとしているのかよく理解できます。我が家の三人の子供達も小学校受験を経験したからです。
一番上の子が年中になる少し前、夫が「小学校受験をさせたい」と言い出した時にはびっくりしました。夫も私も地方の公立小育ちです。私は中2から東京に来て、初めて私立小の存在を知りました。近所の小学生達が楽しそうに友達と帰っている中、他の子と違ったランドセルを背負い黙々と歩いている男の子を見かけ、なんだかかわいそうな気がしたのを覚えています。だから、夫には「小学校受験は考えられない」と反対しました。
でも、もし高校以上に進むことを考えているならばいつかは受験をしなくてはなりません。高校受験、中学受験、そして小学校受験。幼稚園に入る前のお子さんならば一貫校の幼稚園受験も選択肢に入ります。
どのタイミングで受験をしたらいいか。
これはその家庭ごとで判断が違ってくると思うのですが、我が家は小学校時代を充実させたいなという思いを夫婦で共有していました。
思い切り遊ぶこと、楽しく学ぶこと、これを子供達の人生にプレゼントしたい、と。
私立小学校を調べてみると独自の教育をしていて面白そうな学校がいくつかありました。そして正直にいえばもし入学できたなら中学受験のために何年間も塾通いをしなくてもすむところ、高校に進学できるところ、にも魅力を感じました。実は私、高校受験で大失敗しているもので……。
と、小学校受験に前向きになってきたところで、数々の怖い噂を耳にしました。最初に聞いたびっくり情報は「背の高さくらい問題集をやらないと受からない」。そして根強くささやかれる「関係者でほとんど決まっている」的な話の数々。受験前になるとスリッパの色や髪ゴムの飾りまで細かい情報が入ってきます。
それらの噂に翻弄され、不安いっぱいのままのぞんだ一番上の子の受験。背の高さの何分の1かの問題集しかやっていず、親、親戚を含めても私立小と何の縁もなく、模擬試験の成績もふるわなかった……のに、実際の受験では快進撃。一番行きたかった学校に合格した時は信じられない思いでした。
試験が終わって初めて学校が受験者に求めていることが理解できたような気がしました。いわゆる受験準備のための「お教室」でなされていた数々の準備の意味にも気づきました。
学校にもよるのでしょうが、小学校受験では純粋に知識の多少だけで合否が決まるわけではありません。季節の行事を祝うこと、一緒に料理をすること、公園で遊ぶこと、おしゃべりをすることまで実をいえば小学校受験合格の鍵になりえます。親子で楽しく遊ぶことが受験の準備にもなるなんて素敵だ!というのが私が小学校受験を2番目、3番目の子にもさせた大きな理由でもあります。
噂にまどわされたり、背伸びをさせてしまってつい怒ったり。そんなことを私も経験しましたし、今大変な思いで渦中にいる方もいると思います。
小学校受験をする人は少数かもしれません。でも苦しんでいる人がいるのなら、どうか少しでも力になりたい。素敵な体験だと思えるような小学校受験準備をして欲しい。そう願って、およそ10回のシリーズで小学校受験準備のrie的コツを紹介します。
どうぞよろしくお願いします。
小学校受験については、
桜乃ゆめさん「小学校受験に必要なもの」
竹之内ふうこさん「家庭でできる、小学校お受験の準備」
の記事もぜひあわせてお読み下さい。
他にも「お受験術」のアーカイブに受験ママアンケートが多数アップされていて、参考になります。