朝日新聞の未来メディアプロジェクトのシンポジウムに行ってきました。本当に衝撃的な時間でした。「これから子供に何を身につけさせるべきか」ということに深く考えさせられる時間でした。
このシンポジウムは去年に続き、2回め。「メディアが未来を変えるには 〜伝える技術、伝わる力〜」というテーマ。
朝日新聞は、MITメディアラボとの提携して、未来メディア、つまり未来の新聞、そしてメディアのあり方を、様々な方向から模索するという取り組みをしています。その一環で、シンポジウムが開かれました。今年はなんと応募が3倍も来たそうで、当たった私は超ラッキーだったようです。
まず、朝日新聞社の社長のあいさつ。木村伊量氏のあいさつがかっこよすぎてビビりました。完全なジョブス形式のプレゼンテーション。去年も相当なインパクトがあったようで、私は初見だったので、「ぎゃー、朝日新聞、かっけー!じぇじぇじぇ」と、季節外れの驚き方をしてしまいました。
MITメディアラボ所長の伊藤穣一氏が、全体をコーディネートしており、まず伊藤さんのプレゼン。そして、NYTのグラフィックエディターのアマンダ・コックス氏、ハフィントン・ポストのニコ・ピットニー氏。
全体の流れは
●まとめ「MIT×朝日新聞」で語られたメディアの未来その1 #未来メディア
●Twitterで実況中継してくださっていた朝日新聞記者古田大輔さん
こちらを御覧ください。
私が衝撃を受けたのは、アマンダ・コックスさんのその素晴らしさ。
彼女は、ワシントン大学で統計学を学び科学修士号を取得後、ニューヨーク・タイムズ入社。学業と並行してのインターンから、現在はグラフィック部門での責任者をつとめています。最先端のデータビジュアリゼーション(データを画像や動画を用いてわかりやすく表現)の第一人者です。
たとえばこのページはアメリカの薬がいかに高価であるかを訴えている記事ですが、その前半のところで、アメリカとギリシャなどとの比較のアニメーションがありますが、このような文章に加えてわかりやすくする工夫を、デザインしているのです。
またこちらは、ニューヨーク・ヤンキースの守護神だったリベラ投手がどのように打者を打ち取ったかという動画。これ、野球ファンなら萌えます。
他にも彼女のチームが手がけたビジュアルワークは、スライドシェアにその取組のプロセスと共にスライドシェアにアップされています。
なぜ、わたしがこのアマンダに衝撃を受けたかというと、彼女は伊藤穰一さんいわく、統計学など数学を専攻し、かつジャーナリズムに関心を寄せる人材は得難い。ユニコーンのようだ(想像上の動物と同じくらい稀な存在だ)、と。
現在、ビッグデータ活用の本格化で、データサイエンティストの需要が逼迫しています。それはコンピュータ業界だけのことではなく、統計学という学問がジャーナリズムの世界にも非常に求められていることは当然といえば当然なのですが、なんだかやっぱり衝撃的でした。
伊藤穣一さんいわく、「たとえばMITメディアラボなどは、数学の天才の巣窟みたいなところだけれど、社会に興味のある人は少ない」と。それでも、従来のジャーナリストに、統計学や技術的なことを身につけてもらうよりは、統計学を収めた人や技術者にジャーナリズムを教えたほうがはるかに早いのではないか、と。
これ、従来のジャーナリストのところに、様々な職業を入れても、すべて成り立つパラグラフなのではないかと思い、非常に背中が寒くなったのです。
英語教育については非常に喧しくなり、幼少の頃からの英語教育産業も隆盛です。しかし、これからのことを考えていく時に、数学のセンス、特に統計学、そして、数字を現実に読み下す力、発想力。これを身につけることは、どの分野でも必要な素養になってくるのでしょう。
英語力やコミュニケーション力、そして統計を読み取る力。人間にしかできない仕事がどんどん失われていく中、子供がやりたい仕事に将来つけるために、その基礎力として何を身につけさせるべきか、この何年かで大きく変化する、それをアマンダというユニコーンを目の当たりにして、大きな衝撃と興奮を覚えたのです。私の娘には、ちょっと間に合わなかったか、いやいや、とにかく大学に入れて、たとえ文系でも教養課程に統計学があれば、どんな形でもとってほしいと思います。
統計センス。データから発想するセンスと言い換えてもいい。私達仕事をする人間は、これと無縁ではいられません。まじめに、自分と娘の、統計センス問題。考えます。ビバ!ユニコーン!!
はじめまして。「ワコールのデューブルベ 紹介」で検索して飛んできました。もう紹介はしてないでしょうか?