ワーキングマザースタイル【シネマ・こむぎスタイル】第74回 博士と彼女のセオリー




2015年04月30日

【シネマ・こむぎスタイル】第74回 博士と彼女のセオリー

Posted by 湯河原こむぎ

物理学者スティーヴン・ホーキング博士の半生を描いた「博士と彼女のセオリー」は、87回アカデミー賞で五部門にノミネートされ、最終的に主演のエディ・レッドメインがみごと主演男優賞を受賞しました。オスカー像を手にしたエディはめちゃめちゃキュートでした!

ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症したホーキング博士を演ずるエディ・レッドメインがとても上手で、本人が演じているのかと思うシーンが何度もありました。映画「レ・ミゼラブル」で大きく旗を降りながら「民衆の歌」を高らかに歌っていたマリウスだと言われるまでは気づきませんでした。(でも一回認識したら、あのキュートな笑顔は彼そのものだった)
https://www.youtube.com/watch?v=gMYNfQlf1H8

天才物理学者として将来を期待されるスティーヴン・ホーキング(エディ・レッドメイン)はケンブリッジ大学大学院に在籍中、詩について勉強していたジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と出会い恋に落ちる。その直後、彼はALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し余命は2年だと言われてしまう。それでもスティーヴンと共に困難を乗り越え、彼を支えることを選んだジェーンは、二人で力を合わせて難病に立ち向かっていく。シネマトゥディ

私は頭が悪く典型的な文系人間なのでホーキングの理論については何ひとつ知らないし難しい事はわからないのですが、それでも難病に侵されながらも数々の功績を残しているホーキング博士の存在は知っていました。

登場される方々が、みなさんご存命であるので、すべてがオブラートにつつまれた感じで、写真で言うと「フォギー」なフィルターがかかったような映画でした。ピントは合っていてふんわりとやわらかい出来上がりでした。

頭脳明晰な彼がALSに少しずつ侵されて行く若い日々は胸が詰まる思いで見ました。それをそばで支えるジェーンは若いのに素晴らしいと思いました。結婚もしていないし、病気がわかった時点で別れるという選択もあったはずですし、周りの人からの反対もありました。自分が今、「親」になって考えてみた時に、みすみす苦労するとわかっている結婚はさせたくないというのがごく普通の親の感情ではないかと思います。ただ若い時だったら「大好きなこの人を支えるのは自分しかいない」という気持ちになったかもしれません。←そのような情熱が自分にあったかどうかも思い出せないですが・・・(涙)

「余命二年」と宣言された人を支え続ける。大変な事です。一年でも半年でも長く生きて!!と願いながらの日々だったと思います。彼は二年で亡くなることなく、なんと三人の子どもに恵まれます。それは幸せな事ですが、介護の必要な夫と子どもが三人いる暮らしは想像を絶する大変さなはず。

「奮闘!!大家族の日々に密着!」の映画ではありませんから、てんやわんやの毎日を事細かに描いてはいません。電動車椅子に乗った夫と子どもたちが愉しそうに隣の部屋でぐるぐるはしゃぎまわるのをキッチンでため息をつきながら見ている彼女の姿で表現しています。夫の実家に行った時のシーンでは、に夫の両親が庭の階段を登る時に「パパにまかせろ、こんなのなんでもない」的に率先して(でもかなりガタガタと苦労しながら)運んでくれます。もちろんありがたい事ではありますが、周りの人にとっては「その日だけ」「その時だけ」の事なのです。それをジェーンは毎日やっている。細かい表情だけでジェーンの感情を表現するフェリシティ・ジョーンズの演技が素晴らしかったです。

結局2人は25年で離婚してしまいます。

また、驚くべき事にジェーンはその後、文学の博士号を取得しました。なんと素晴らしい女性なんでしょうか。



とても美しい映像でした。構図や色合いがとてもとても計算されていて写真集のようでした。

たとえば病院の廊下の椅子で病気を宣告されるシーンは病院の廊下や壁の色合いと彼のパジャマの色が絶妙に合っていましたし、そのあと部屋で一人孤独に考え込むシーンのお部屋の色合いや椅子のある構図、らせん状の階段をジェーンが駆けのぼるシーンとか、うっとりするような美しいシーンがたくさんありました。



この映画を観ていて、以前書いた自分のレビューを思い出しました。

死ぬまでにしたい10のこと

原題が「MY LIFE WITHOUT ME(私のいない私の人生?)」って言うんだけど、ラストの方に、玉のれん(英語でなんて言うのかわかんない。もっとかわいい名前なんだろうけど)の向こう側で、みんなが食事をしているシーンを、こちら側のBedから、彼女が見ているシーンがあるの。それがすごく「MY LIFE WITHOUT ME」な感じを象徴しているように思えたなー。

特にふたつのシーンで強く感じました。

まだ二人が若い頃、彼の論文が認められ、自宅に友達が来てジェーンと一緒に食事をしながらお祝いするシーン。「彼のお祝い」であるのに、自分はうまくフォークやナイフが使えず苦労し、他のみんなは楽しげにおしゃべりしながら食事を楽しんでいる・・・みんなといるのに孤独・・・彼の気持ちが伝わりせつなかったです。

もうひとつは

ジェーンが教会で知り合った音楽を教えてくれる先生のジョナサン(イケメン)。彼はとってもいい人で、子育てと夫の介護で大変なジェーンの手助けをしてくれます。彼や子どもたちとも仲良くなり、家族のようなおつきあいになります。ジェーンはイケメンで優しいジョナサンにひかれて行きます。私にもそれは伝わりますし、彼もきっときっと気づいていた。でも、それを大きな心で許し(もちろんジョナサンの手が彼の一家には必要であったし)、普通に過ごして行く。

みんなで海に行った時、ジョナサンとジェーンと子どもたちが波打ち際で楽しそうに遊んでいる姿を、砂浜にひとり残った彼が見つめている姿は本当に本当にせつなかったです。「MY LIFE WITHOUT ME」な感じ・・・と思って「死ぬまでにしたい10のこと」のシーンを思い浮かべました。



主演の二人の演技が素晴らしい映画でした。
特にジェーン役のフェリシティ・ジョーンズの「普通さ」が素敵。セリフがなくて表情ですべてを語っている演技が、おさえているのに力強かったです。口元が久本まちゃみに似ていたのは秘密。






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