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今年6月、私はある選択を迫られた。ヨーロッパへの二週間の出張に、行くか行かないか。問題はひとつ。我が家の三歳児くんである。
私は離婚して独身。仕事は家計につながる生活の糧である。出張して得られるビジネス的メリットは大きく、今後の収入の安定も約束されるおいしい仕事だ。が、中学生くんは学校もあるし、隣家の実家に頼めるけれど、三歳児くんを預けることは、どうしても不安だった。頼めば母はしかたなく了承してくれるだろう。中学生くんも弟の面倒をみてくれるだろう。シッターさんにも頼めるし、昼間は保育園もある。でも、母である私がどうしても離れがたいのである。ビジネスなんだからと自分に言い聞かせても、どうしても自分が納得できないのである。.....私の出した結論は、安全に三歳児くんに負担なく、よい経験になる旅として、出張に同行させるというものだった
ヨーロッパへは12時間のフライト。もちろん渡航費用が少々高くても直行便を選ぶ。ファーストクラスはわざとさけて、エコノミーを選ぶのは子連れの常識(ファーストクラスの客は子供の泣き声に非常に敏感なのだ。快適を求めてファーストクラスを選んでいるので、当然といえば当然だが)。

荷物は軽くて大きなスーツケースに入れよう。子連れの旅は荷物が多いので、どうしても機内持ち込みの大きさのかばんには入りきらない。思い切って大きなかばんに入れて預ける方が無難。そして機内では身軽にね。でも、おむつ、お尻ふき、おやつ(飲み物や飴は機内でもらえるので、ビスケットや小さなチョコ、菓子パンなど)は忘れずに手荷物へ。濡れティッシュも必須。子供だけじゃなく自分の着替えも忘れずに(汚されても安心)。
普段からのしつけも大切だ。人に迷惑をかけないよう、こういった場所で駄々をこねない子に育てておかないとね。じゃないと12時間のフライトは無理。幸いにして我が三歳児くんは、内弁慶なので、こういった公共の場ではおとなしい。初めての子育てで甘やかしてしまった長男が三歳のときだったら、連れて行こうとは思わなかったと思う。スーパーでひっくりかえって足をばたばたさせて「買って買ってー」と駄々をこねる子だったからね。飛行機でそれをやられたら。ぞーっ。
飛行機の中では徹底して子供の面倒をみる。当たり前のことだが、つい、本を読みたくなったり、頭上の映画をみてしまいたくなったりするのをグッと我慢。子供に本を読んだり(小さな声でね)、手遊びしたり、一緒に寝たり、ずーっと相手してあげることが大事。そしてどんなに歩きたがっても、座席を離れないように言い聞かせるのも大事。危ないし迷惑かかるからね。トイレに行くときは、子供も一緒。狭くっても背に腹は変えられない。自分は狭くても、子供は足を伸ばしてまっすぐ寝られるように配慮することも大事。それができるかできないかで機嫌がかなり違ってきます。
ヨーロッパへ行く飛行機だったから、当然乗客の半分以上は外人さん。ヨーロッパの人々は、日本の子供をとってもかわいがってくれるけれど、しつけにはうるさい。子供が足を前の座席に投げ出すようにしただけで、じろりと見られるので注意。あらかじめ「sorry」といいまわっておくと、少しは緩和されるかもしれないけど、甘えてはだめ。仲良く話しちゃったりすると、子供も甘えて騒ぐので、ほどほどの距離感を保つのがポイント。
もちろん、子連れならではの楽しいこともある。キッズミールは大人の食事と量が同じくらいあって、めちゃおいしいし盛り付けもかわいい。一緒に写真撮って!と言われることも二度や三度じゃ済まないでしょう。そういったやりとりも楽しい。飛行機を降りるときに「ママ、楽しかったね!これからどこに行くの?」なんて元気に言われた時は「やったぁ、子連れ飛行機の旅、大成功」なんて思っちゃったものです。
が、子連れ出張にはまだまだ難関がたくさんあるのでした。
まずはステージ1クリア、といったところかな。
この続きはまたの機会に。
相川朱保 プロフィール
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1965年生まれ。かなり波乱万丈な人生。
★仕事
翻訳ライター。わかりやすくネイティブチェックするのが得意。
★特技
子連れ出張、超特急料理
★家族
中学生くんと3歳児くん。離婚歴あり
★至福!
湯船にのんびりつかる..
チャイダンルック(Çaydanlık)で淹れたÇayを飲む
★近況
3歳児の素直な感性に感激し、中学生の反抗期っぷりに感心。
子を育てているつもりが、母として育てられている毎日です。