投稿者 森マキ子
私の会社には毎年年末になると、忘年会と称して、社員全員で1泊旅行を行う。郊外の宿泊施設に大型バス数台で向かい、会議を行い、夜には宴会がある。宴会では各部署からの出し物がある。私の所属する部署では、ダンスパフォーマンスを行い、そのために練習をしたり、いっしょに衣装を購入したり、なんだかんだと楽しい思い出となった。いい年になって、しなければならない団体行動に少々とまどいを感じ、憂鬱になる社員もいないわけではないが、年に一度、いろんな部署の人と否応なく時間を共有したり話しあったりする良い機会である。
さてさて、メインの宴会も終わり、次は、ある社員の部屋が会場になって、お酒やらつまみやら持ち寄って飲むことになった。妊娠して以来、社内の飲み会にはほとんど出席できなかった私もひさびさに紹興酒などを飲んで、単身時代に戻った開放感を感じていた。
と、ある同僚が
「森さん、こんなに楽しいのにどうして家族を連れてこないんですか?」
と言う。
「えっっ、家族!?」
とまどう私のななめ前には、結婚したばかりの日本人同僚Hさんの奥様が、楽しげに会談されていらっしゃる。
「連れてきていいんですか??』
前を通り過ぎようとしたやはり日本人同僚Mさんも奥様連れであった。ちょっとお聞きしたところ、
「いや〜、今日は家のかみさんの誕生日なんですよ。そんな日にほったらかしにしておくわけにはいかないって、人事に話したら、じゃあ、奥さんも連れてきなさいって言われまして。」
とのこと。ちなみに奥様はどちらも中国人である。このあっけらかんとした同僚たち(日本人ですよ!)に私は深く感動してしまった。長く暮らした夫の祖国ドイツでならありそうだが、日本人社会で、会社と家族というのは永遠に出会うことがない世界ではないかい?(実態は知りませんが)それとも私が古くさいのかしら?
「来年は、ぜひ連れてきなさいよ!」
とみんなに明るく言われてしまった。
帰宅して夫に話したところ、
「今から宴会で何するか考えるよ!」
とずいぶん乗り気。本当に連れて行くかどうかは、私一人でゆっくり考えたいと思っている。
