ワーキングマザースタイル ・大学院に入院by葉山るか



2009年03月31日

【大学院に入院!】第10回 入試対策


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この春、新入学を迎える皆さま、おめでとうございます。
期待がふくらむ季節ですね。

近所の小学校の桜が入学式まで持ったらいいな・・・と見守っています。


さて、超スローペースで更新してきたこのシリーズも、10回目となりました。
今回は、「入試対策」について、私の経験をもとにまとめてみます。

まず、
大学院は、学部よりも入りやすいです。

・・・という乱暴な言い方では語弊があるかもしれませんが、出身大学よりも上位の大学院に行くことを、マネー・ロンダリング(資金洗浄)になぞらえて、学歴ロンダリングと呼んだりするぐらいで、こんな本もあるほど。

かくいう私自身も、主婦業(←適当ですが・・・)やPTA役員(←これは大変・・・)のかたわら、大学受験時には敷居が高かった国立大の博士課程に合格できました。なぜかというと・・・

院入試の内容は、大学や専攻によってさまざまですが、専門科目の知識を問う試験(用語説明や論述など)に加え、外国語が必須の場合が多いようです。
辞書は持込可だったり不可だったり、TOEICやTOEFLのスコア提出で英語の試験が免除されたり、英語以外の外国語も課されたり・・・etc.

しかし、概して、一般的な大学入試よりも科目数は少なく、また、研究計画をもとにした面接試験(あれば、それまでに書いた論文も)の比重が高いのです。とくに、社会人入試は、一般入試よりも科目数が少ないなど、負担が軽くなっています。

また、事前に研究室を訪問し、指導教授になる予定の先生が「うちに来てもいいよ」と言ってくれれば、筆記試験がイマイチでも(水準以上であれば)合格事例がちらほら。

・・・とはいえ、傾向と対策をふまえる必要はあります。
以下に、項目ごとに説明します。

1.入試説明会

 受験年度の春から夏にかけて。先輩院生に質問をしたり、雰囲気をつかむ、よい機会です。
開催日時は、各大学のHPをチェック。


2.研究室訪問

 受験したい年度の春から秋にかけて、アポをとって訪問します。冬場は、先生方が論文指導や入試業務などで多忙ですし、出願書類に指導教授の希望を書く前に先方の了承をとっておくのが望ましいからです。

訪問時は、手ぶらでなく、やりたいことを紙にまとめていきます。先生がどんな人か(自分と相性が合いそうか)、ほかのゼミ生はどういう研究をしているのか、どのような指導体制なのかを確認する機会でもあります。その教授の論文もいくつか読んでおくこと(ミスマッチを避けるのと、礼儀として・・・)。

会ってみて、多少付き合いづらそうに感じても、研究能力が高いこと、自分の関心の延長線上にあることが重要。私は、自分だけでは到達できない世界に引っぱってくれそうな先生に師事し、視野が広がったと感じています(厳格な人で、よく怒られてビビってましたが・・・)


3.研究計画

 社会人にとって、これがいちばん難しいかも。

『研究計画書の書き方』といったガイド本を読んだり、通信添削を受けたり、それなりに努力が必要です。該当分野の専門書も、何冊か読んでおきましょう。

問題意識があっても、それを学術論文の形にまとめるための作法がないことはネックになりますが、社会人受け入れ態勢を前面に出している大学院なら、入学後に身につければ済むこと。それを面接時にネチネチと非難するような人が指導教授になると何かと厄介なので、こちら側からもよく見極めましょう。


4.英語対策

 まず、語彙を増やすこと。そして、速読できるよう長文に慣れておくこと。

この2点が重要だと痛感しました(ちなみに留学経験ナシ、高校まで公立でした。英語はニガテでもなかったけど、完全に忘却・・・)。

辞書持込可の場合も、いちいち引いてると時間が足りません。わからない単語が多いと、長文を読む気すら失せるので、入学後のためにも語彙を増やすことは必須です。

 ̄儻譴慮贏辰魃用レベルまで持って行く
 受験以降、英語を使う機会がなかったので、昔覚えた英単語を見ても、20年ぶりに会う同級生の如く、名前が出てこず・・・。そこで、大学入試用の『英単語ターゲット1900』からやり直しました(「単語帳を見て驚いた」と夫があきれるレベルです)。

『ターゲット1900』で「難読」とされるものが『院単』では「基本」なので、短期間に上級レベルまで達する必要がありましたが、覚えた端から忘れて行くのが、悲しいアラフォーの性・・・。雑事に追われて2、3日放置しているうちに記憶が振り出しに戻っちゃって・・・。高校生時代と同じやり方では、飽きちゃいました(;'A`)

飽きたときには、DSの英語系ソフトをやったり、家にあったTOEICやTOEFL用の問題集を使ったりしました。TOEICは実生活で必要な単語が多く院入試と傾向が異なりますが、TOEICの通信教育の教材(ALCのチャレンジ英単語752)の中の「意見・姿勢」や「程度」「時間」に関する分野は、参考になりました(政治・経済専攻なら、参考になる分野はもっと多いと思います)。

該当分野の専門用語の英語表現をおさえる
 たとえば、「価値のある」「貴重な」という意味のvaluableは「変数」という意味を持ちますが、知らないと誤訳すること必至。研究計画を考える際、先行研究のなかで頻出の用語を調べておいて、100個ぐらいはリストアップして覚えておくとよいと思います。

D絞呼媛鬚了間配分のカンを取り戻す
 私は先日、完全に失敗・・・。
大問が2つあって、両方トータルで7割を目標にしましたが、1問目を丁寧にやりすぎて(9割は取れた感触あり)、2問目の時間が足りず、ちんぷんかんぷんなまま時間切れで、5割ぐらいしかできませんでした。合わせて7割になったはずですが、2問目の配点が大きかったら終わってました・・・。

辞書は、分厚いと引くのに時間がかかり非効率ですが、論文に出てきた偉人(隣接分野の人なので、詳しくはわからない)の名前を引いたらプロフィールが載ってて読解のヒントになったことがありました。・・・一長一短です。

電子辞書は、どこも持ち込み不可のようです。
 

5.面接対策

 志望動機や研究計画(方法、スケジュールなど)への説明を求められます。簡潔に話せるようにまとめておくこと。

予想もつかない質問を受けて言葉に詰まることもあるかと思いますが、根幹にかかわる部分で誤解を受けていて、それを解かなければまずいといった場合を除けば、その場で背伸びして反論したり論駁しなくてもよいかと(プロを相手に議論し勝てるなら、大学院に入らずとも、もう論文を書けるはず)。

指摘の鋭さに感銘を受けつつ、自らの至らなさが恥ずかしくもあり・・・という素直なリアクションで、「精進します」という姿勢なら、伸びる素質アリということで、大目に見てもらえるんじゃないかと思うのですが(たぶん)。


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今年度はPTA役員も務めていたので、受験のピークともちつき大会が重なったり、綱渡り状態で、どうなることやら・・・という感じでしたが、憧れの大学院に合格できたことで、終わりよければ全てよし、という心境で年度末を迎え、ほっとしています。

これからが大変ですが、今後の目標に向かって、精進します。

このシリーズにこれまでおつき合いいただき、ありがとうございました。

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2009年03月28日

【大学院に入院!】第9回 社会人が大学院で学ぶことの意義(その2)


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 先日、博士課程の入試が終わりました。

 結果は・・・・・・メルマガ風ですが、文末で発表させていただきます☆
 
 さて、前回、自分の中でスッキリしないことを整理する、という側面から「社会人が大学院で学ぶ意義」について少し述べました。

 学ぶことで視野が広がることは、大きな収穫の一つだと私は思います。ただ、こういう厳しいご時勢でもあり、訴求ポイントがそこだけでは、カルチャースクールでは満足できない有閑マダムの贅沢な娯楽・・・?程度に終わってしまいかねません。

 今回は、それ以外の「社会人が大学院で学ぶことの意義」について、思うところを述べてみます。
 

1.職務経験を生かして再就職ができる(かも)

 先日、学部生から「博士号とか取っても、非正規雇用の人が多いんですってね」という情け容赦のないコメントをいただき、答えに窮しました・・・。

 就職する!という強い意志を持っている院生も少なからずいますが、現実が厳しいのは事実。
 とくに、社会人の場合、年齢的にも不利な場合もあるし(奨学制度や研究職の公募に応募できなかったり・・・)。

 しかし、暗い話ばかりでもありません。
 大学の専任講師の職を得た先輩も、身近にいます。
 その人も社会人院生で、職務経験が生きる分野で博士号を取得。その分野に進みたい学生のための授業を担当するそうです。

 このように、職務経験を生かせる分野で、学んだことを社会に還元することも、不可能ではありません。 

 では、どのような分野なら、社会人経験と大学院での研究を生かせるか

 それについては、一般公開されている研究者人材データベースの募集内容で「実務経験がある方が望ましい」とされている場合がありますので、興味がある方はご参照ください。こういう募集もあるんだ、というゴールを先に知ることで、お先真っ暗感(?)が、多少なりとも払拭される場合もあるかもしれません。


2.仕事で得た知見を学術研究に反映できる

 先日提出した修士論文のなかで、自分では常識だと認識していることを簡単に書いた部分(メインテーマではなく序論)があります。指導教授いわく「先行研究ではこれまで雑に扱われてきた部分だが、現場経験がある人ならではの指摘。これを丁寧に掘り下げたら、論文が1本は書ける」とのこと。
 正直、自分的にはさほどの重要性を感じていなかったのですが(気づいていなかった、ともいう)。

 事件は現場で起こってたようです。
 「社会人ならでは」の可能性もある、という事例として挙げました。

 あと、学部の授業運営を大学院生が担当するTA(ティーチングアシスタント)という制度がいろいろな大学でありますが、ゼミなどの場合、学生と教授の板ばさみになることが、しばしばあります。しかし、社会人なら、上司を立てながら若手のやる気を引き出す、みたいなことって、経験ありますよね? 
 社会人経験のない若者のTAがニガテとする根回しやプロジェクトの進行管理・・・etcといった雑務を軽くこなせると、重宝されるかも(本業がおろそかにならない程度に・・・ですが)。


3.いったんリセットして人生をやり直せる

 どこがメリット? マゾ?って思うかもしれませんが、人生中盤で社会人院生になったことは、いい修行になりました。
 会社では役職順のホワイトボードも上のほうに名前がある状態だったのが、いい年こいて学生になり、いちばん下の新人からやり直しに・・・。
 英語力もさび付きまくっていたし、学生時代の専攻とは異なる分野だったこともあり、はっきり言って、その中でも底辺層でした。

 研究計画は、既存のやり方では部分的な答えしか出せないと思ったので、ちょっと欲張って複雑なメカニズムの考察を試みて、ドツボにはまり、悪戦苦闘。しかし、あるとき、それについて「そんな連立方程式みたいな解き方をしようとしてるから、葉山さんは、できないんだよ!」と10歳以上年下の先輩に言われました。
 このときは、批判の内容よりも「できない人」認定に、ショックを受けました(方法については賛否両論だったので、結局、初志貫徹でしたが・・・)。
 
 しかし、こういう「何者でもない自分」になって、いい年こいてアホなことに挑んでる自分をアハハと笑えるようになると、精神的に、ラクにはなりますね。
 とはいえ、いつまでも万年学生でいるほど経済的な余裕もないし、仕事から離れたことで空虚感みたいなものも感じるので、5年以内に再就職したいと考えています。

 ただ、「経済活動に参加している人のほうが偉い」といった固定観念は人間の長い営みの中ではつい最近確立されたものに過ぎず、働いていないこと自体を卑下するべきではないんですよね。・・・というか、そう考えるようにして、精神衛生を保っているような、今日この頃。


☆大学院入試の結果ですが、現在の大学と第一志望の大学の2校を受験し、第一志望のほうに進学することになりました。次回は、大学院入試対策について書く予定です。

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2009年02月22日

【大学院に入院!】第8回 社会人が大学院で学ぶことの意義(その1)


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先日、修士論文(以下、修論)を提出しました。

なんとかここまでこぎつけたなぁ・・・と、感慨深いです。

今回は、私なりに考えた「社会人が大学院で学ぶことの意義」について、書いてみます。

修士2年目の秋から冬にかけては、下記の通りイベント目白押しですが、まずは1月の「修論」をそれなりの内容にしないと2月以降の予定は白紙になります。とにかく、それだけを目標にしていました。


11月:仮提出
12月:主査、副査(指導教授+副指導教授)に指導を受け、修正
1月:修論提出、博士課程出願(製本した修論と研究計画書を提出)
2月:修論の口頭試問、修論報告会、紀要(研究科の論文集)に載せる学位論文要旨の提出、博士課程の入試


修論は、大学院(修士課程)で学んだことの集大成、という位置づけですが、そもそも、なぜ、私は大学院に行こうと考えたのか? 今振り返ると、以下のことについて、自分のなかで整理したかったからです。


1)女性と男性の社会的な役割の差異 
2)マスメディアの機能(可能性と限界) 


まず、1つ目について。私は、自分がいわゆる普通の女性としては生きられない、と物心ついた頃には思っていました。重たい話なのであまり詳しく言いたくないのですが、体に傷あとがあって、制服のある仕事や容姿重視の仕事はNGという具合に、職業選択の幅が限られており、結婚もできるかどうか? という不安要因があったためです。
とはいえ、それはいわゆる“男並み”のコースを歩むというサバイバル術(待遇や仕事内容が男女平等の仕事に就く)で、ひとまず解決したかのように見えました。しかし、その後、幼少時からの予想に反し、妻・母親という役割を担うことになったのを機に、周囲が求める役割期待に戸惑い、混乱し、それまでの生き方を否定されることで自己嫌悪にも陥りました。また、リベラル・フェミニズムが目指すところの限界も、身を持って感じました(あえて抽象的に書いているので、意味不明だったり誤解を招くかもしれませんが・・・)。

2つ目ですが、マスメディアの仕事に就けば、社会のさまざまな問題状況の改善のために役立てると思っていました。しかし、いろいろと難しい状況に直面し(詳しくは割愛します)、かといって正論を吐いても要注意人物扱いになることが目に見えており、言いたいことも言えないPOISON状態。これでいいのかと思いつつ、できる仕事が他になかったので、可能な範囲で最大限、良い記事を作るよう努力してはいましたが、大きな目標や希望を持てなくなりつつありました。とくに、女性誌は女性の生き方を支援しようとしているようで骨抜きにしているようにも感じざるを得ず、そのメカニズムに自分が取り込まれることへの抵抗もありました。

つまり、自分が信じてきたもの、やってきたことに意味を見い出せなくなり、人生の後半戦を生き抜く気力が湧いてこなくなったのです。

ただ、自分自身を見つめても、答えは出ないと思いました。社会の中での性役割やメディアのあり方は、いつごろからどのようにして形成され維持され再生産されてきたのかについて、歴史や理論をふまえながら根本から検証してみなければと考えました。


・・・なんていうと、カッコいいけれど、そうしなければ、自分自身がにっちもさっちも行かない状況に陥っていたからこそ、でした。

今思えば、「ミッドライフ・クライシス」と呼ばれるものだったのかもしれません。この言葉に心当たりのある方には、大学院に入ることをお勧めできます。

(つづく)

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2008年10月27日

【大学院に入院!】第7回 学会大会でドキドキ


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久々の更新です。すみません。

会社勤めに比べると刺激が少ない大学院生活。そのなかで、いちばんエキサイティングで楽しいと思えることのひとつが、学会(所属学会の年次大会)への参加です。

「日本○○学会第△回(200×年度)大会」などが正式名称ですが、通常、この年次大会を「○○学会」と呼ぶようです。
(病院などでも「学会参加のため休診」というお知らせが待合室に貼ってあったりしますよね)

「同じ学問を専攻する学者が、研究上の協力・連絡・意見交換などのために組織する会」(「大辞林」より)の定期的な会合です。

発表を認められた研究者が当日研究成果を報告し、質疑応答や議論を通じて考察を深める。発表をしなくても、研究動向を把握したり、懇親会でネットワーキングし、人脈を今後に生かす。・・・というのが、集まる目的です(たぶん)。

私は発表をしたことはなく(まだ修行中の身なので・・・)、もっぱら聴衆として、いくつかの学会に参加してきました。

最先端の研究動向がわかるし、研究上のロール・モデルとなるような方を見つけたり・・・というマジメな目的のほかにも、著名な重鎮がしゃべっている姿を生で見られたり、ふと気づいたら大御所がすぐ近くの席だったりするので「おぉ潤オ」とミーハー魂がうずいてしまいます。

著書や論文から勝手にイメージをふくらませていた人が、予想とぜんぜん違う雰囲気で、ビックリしたり・・・。

ふだん文献やデータと向き合う二次元がメインの世界から、三次元への冒険。だから刺激的なんですね、きっと。

先日は、斜め後ろに山田昌弘さんが座ってらっしゃいました。
(・・・と書くと、専攻が何であるかが、わかってしまうのですが)

研究者を目指す奇特な(?)人は、そうそういないと思いますが、この「ワーキングマザースタイル」をご覧の方は「子供を持ちながら働くこと」に比較的、ご興味をお持ちの場合が多いのではないかと思います。

先月、開催された「日本家族社会学会」の年次大会では

「女性就業者のワークライフバランス」
「子供の習い事を媒介とする父親の育児参加に関する研究」
「格差社会と小・中学校受験」

など、ワーキングマザーにとってホットなトピックの発表が複数ありました。

同大会に限らず、学会はわりとオープンで、「非会員」でも参加可能な場合が多いようです。

日本家族社会学会の場合は、大会期間中、託児室(要・事前予約)も設置されていて、一般からの参加もWELCOMEだと聞いています。

もしご興味ある方は、次回、いかがですか?

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2008年07月13日

【大学院に入院!】第6回 構想発表会


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「修士論文 構想発表会」という一大イベントが、先日終了しました。

修士課程修了年次(修士論文提出予定)の大学院生が、修士論文に向けての研究の経過報告と今後の構想を発表するというものです。例年、夏休みに入る前(7月上旬)に行われ、そこで得たコメントや指導をもとに、各自が夏休みに研究を進める、ということになっています。

修士1年目のとき、先輩院生の発表会に出席して以来、この日が来るのは恐怖でした。
「この論文はアンフェアだ!」と、ボコボコに叩かれていた人もいたので・・・

大勢の人の前で、上の立場からそんな言い方をするなんて、

「アンフェアなのは誰か?」(by秦建日子)

って気もしますけどね・・・

さて、当日は、全部で50人ぐらいが出席するなかで、

・論文題目
・問題意識
・研究の理論的枠組
・仮説
・方法
・目次案
・文献リスト

などをA4で2枚にまとめて発表し、その後、質疑応答が行われます。

出席者は院生だけでなく、指導教授以外の先生や助手の方も含めた、研究科全体。

日ごろの勉強/不勉強ぶりが露呈してしまう場なので、
批判されたり矛盾を突かれたり、あるいは失笑されたり・・・
この「質疑応答」の10分ぐらいの時間は、
発表する側としては、何を言われるのやら・・・と戦々恐々です。

ただ、相手はごまかしのきかないプロ。

ボロを出さないようにして時間をやり過ごすよりは「ここまで頑張りました。しかし、ここについて悩んでいるのでお知恵を拝借したい」という態度で臨もうと考えました。

論文全体の7割ぐらいはすでに書いたものがあり、A4で100枚近い内容を2枚にまとめて制限時間(15分)で発表するのが至難の業でしたが、なんとか発表が終わり、質疑応答の時間が始まりました。

一部抜粋しますと、

Q.「○○○」の背景が多様化してきたということを描きたいということですか?
A.「○○○」の背景が多様化してきたという状況に対し、×××は△△を取り巻く状況が望ましくないのに、それを美化したり隠蔽するようなことをしてきた、つまり「******」というストーリーが作られている、ということを書きたいと思っています。

↑質問に対して、このようなやりとりをすることになります。

そのほかに、こういう質問がありました。↓

Q.使っているデータは、どういうものか? 信頼性は?
Q.APC(age-period-cohort)のうち、いずれが効いているか、わからないのでは?
Q.実証的な方法が、この問題意識に答えていくうえで、ベストなのか? ***という方法も検討してみてはどうか。

その場でこれらに対し、「おっしゃるとおりです!」という場合は「すみません。頑張ります」でOKなのですが、場合によっては根拠を提示して「大丈夫です!」と説得したり、誤解がある場合は「そういうことじゃなくて××××なんです」と反論する必要があります。質問をメモして、その場で答えて・・・というのに、慣れない反射神経を使いました。

しかし、まぁなんとか無事に終わって、ほっとしております。

次は、夏休みを迎える前に、学部授業の筆記試験! 資格取得に必要な科目で、ほかの院生も取っている授業です。固有名詞を覚えなければいけないんですが、現時点では、全部が私の中では「ナントカ法」「あの、アレ」なんだもん。・・・かなりの努力が必要です。

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2008年04月11日

大学院に入院!【第5回】保護者会か、ゼミか?


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「あぁ、金曜日、いきなりの保護者会で初回の授業に行けないかも・・・」と、数日前、院生の友人(お子さんは新1年生)からメールが来ました。

今日の午後、私の指導教授・Y先生の08年度最初の大学院ゼミ(演習方式の授業)があって、その彼女はY先生の授業を履修するのが初めてなので「絶対行く~!」と言っていたのですが・・・。

結局、時間の融通の利く仕事をされているご主人(って呼び方には抵抗ありますが、とりあえず使用)が保護者会に出てくださるとのことで、彼女は授業に出ることにしたそうです。うらやましい・・・。うちの夫はサラリーマンで、かなり前もって言わないとダメなので・・・。

じつは私も去年、彼女と同じく保護者会と初回ゼミがバッティングしてしまいました。で、だいぶ悩んで、新1年生初の保護者会を欠席したのです。それがボディブローのように今頃効いてくるとは、そのときには思いもしないことだったのです・・・。

【鉄則】新1年生の保護者なら、初めての保護者会は、万障繰り合わせてご参加を。

子どもの小学校では、最初の保護者会の後に係・役員決めがあって、8割ぐらいの人が何か1つは係や委員を担当するのですが、それを昨年度、欠席したために私は一切やらないことになりました(担当が割り振られなかったので)。さらに、保護者会の席では、当日配布された子どもの持ち物数十箇所に記名させられるんですが、そんな面倒くさい作業(うちの子の名前の記名)を代わりにやっていただくことを依頼していた人に、気持ち的に大きな借りができてしまって。一応、お礼の品を渡しに行ったりもしたのですが・・・わりとキツイ対応だった(と感じた)ので、へこみました。

子どもの持ち物への記名については「当日保護者会に来られない人は誰かに頼んでください」といわれていたけど、こんな負い目を感じるぐらいなら、這ってでも行ったのになぁ。学区外の保育園に通っていて入学先の小学校に知り合いが少なく、その人だけが頼りという状態だったので、今でも素直に感謝と申し訳ない気持ちでいっぱいではあるのですが。

長くなりますが、つづきです。

その方が、次年度の役員を決める委員に就任してしまったのです。PTAとしては「やり手」の豪腕な方で・・・。で、私は上記の「借り」があるために「来年度は、絶対に何かやっていただきますのでっ!」という強いお言葉に従うほかなく、結局、今年度のPTA役員になりました。春休みのうちから、プリント作成、入学式の受付など、フル稼働中・・・(T_T) 今年度の保護者会は、自分が説明する側なので、休めません。なんなんだ、この「休めない」スパイラルは・・・。でも、お友だちもできるなど楽しい部分もありそうだし、学校がどのように運営されているのか知りたかったので、強引に押し付けられたわけでなく、自分から立候補したんですけどね。 

さて、一方、大学院の初回のゼミも、半年間の方針のガイダンスや誰がいつどの部分を発表するか決めるので、休みづらいんです。とくに面識のない先生のゼミは。
いま、単位互換制度が広まりつつあって、提携している他の大学院の授業も、先生の許可を得て申請の手順を踏めば履修可能ですが、その場合も「初回の授業には必ず出席すること」がルールになっています。

去年は、新任の教授が私の論文の副査をつとめてくれることになりそうだったので、どんな先生か会っておきたいし・・・と考え、入学後、「数日後に来てください」といわれた保護者会を欠席し(その召集のかけ方にはカルチャーショックを受けた)、初回授業を優先してしまったんですよね~。会ったことがない教授に、いきなりお願いごとというかお詫びというコミュニケーションから入るのもリスクが高いですし、小学校側に対し「もっと早く言ってよ~!?」とムカついたので。しかし、社会人の作法とはあまりにもかけ離れた、何の根回しもない呼びつけ方に対し、こちらが歩み寄らないことで受ける不利益は、想定よりも大きかったのでした。

結局、新任の教授はお子さん2人を育てている女性で、いろんな事情も分かってくださる優しい先生なので、こんなことなら正直に相談して保護者会に出とけばよかった~と、今は後悔しています。ただ、お子さんがいても「私だって大変な思いで研究してきたんだから、甘えないで!」というタイプの女性もいらっしゃるので、子どもを理由に休むことを正直申告すべきかどうかは、初めて会う相手に対しては判断しづらいものがあります。

さて、今年も、今日の午後からの保護者会と初回ゼミの日時は、案の定ぶつかりました。しかし、幸い指導教授のゼミの時間帯。使うテキストも入手済みだし、今日のゼミの様子を聞ける相手はたくさんいるのでフォローアップできるし、安心です。今日欠席することも、先生の了承をとってあります。そのかわり、先日会ったときに「春休みにやったこと」「4月からの年間研究計画」「今年度のゼミで行う論文経過報告の時期と内容の希望」「論文の改善案のメモ」をまとめたものを渡してあるので、たぶん大丈夫。・・・いろいろ学習しましたね、私。

それにしても、小学校の行事って、平日の昼間に呼び出すのであれば、もっと前もって言って欲しいものです。新年度は忙しい、働いてる保護者も多いのだし。「学校行事を休むと、みんなに迷惑をかけて居心地が悪いから、休まないほうが身のためですよ」というプレッシャーを感じるのは、被害妄想でしょうか?

でも、仕事でもふだんから急に休んだりいろいろ迷惑をかける立場で、他人に強く出られなかったりする保育園生活を終えたと思ったとたん、入学早々の学校行事を休んだからといって、ほかの保護者に借りができたり不利な立場になる状況って・・・。公私ともに謝ってばかりで、なんだか働くのがバカらしくなってしまいますよ。何事にも屈しない鋼鉄の意志、もしくは、卓越したスルー能力を持つしかないのでしょうな。

怒ってばかりで、すみません。これをこのまま担任にぶつけると「モンスター」認定されそうですね。そこまでの暴れん坊ママではないので、ご安心ください。

今年度はプリントを作って配る側なので、保護者会の日程が早くわかるかな?と思っていたのですが、そうでもなく。学校側の公表が遅いんですよね。3月のうちから決まってるようですが、早くお知らせしようという気持ちが、まったく見られません。PTAが作成・配布するプリントには「保護者会の開催日」だけ書いてあって時間帯が未記載なので、他のPTAの人に「もう1週間を切っているし、時間帯が知りたい」と言ったら、「そのうち学校から配られればわかるでしょう。忙しい○○先生にそれを問い合わせるのも何ですし・・・」と「大人げないですわよ」風にたしなめられる形で、フェードアウトを迫られてしまいました。とりあえず、前役員との引継ぎ期間が終わるまでは、旧習に従いますわね。

他のPTAの方は、働いていなかったり仕事を休みやすい方が多く、時間帯未定のままでも、日程さえ決まっていれば、特に問題ないようで、事情が違うんですよね。ちなみに、うちの子どもの小学校は、母親が働いていない人が多くて、平日の学校行事への参加率が他の公立小よりも高いそうです。ついでに、公立なのに誰もが中学受験をするそう。そんなこんなで、「平日に急に呼び出さないでほしい」という声がない(もしくは少数派)から、今の状況が続いているのかもしれません。他の学校はどうなっているんでしょう?

まぁ、ブツブツ言いながらも、とりあえず、今年は乗り切れたので、よしとします。しかし、スケジュール調整をめぐる闘いは、まだまだ続きそうです。

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2008年03月23日

【大学院に入院!】第4回 「科目等履修生」制度で大学院の授業を。


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 3月末から4月初旬にかけては「時間割」を組む時期。シラバス(講義概要)を参考に、日課表と照らし合わせながら、年間計画を立て、自分の時間割を作ります。春学期(4~7月)は日が長いからいいのですが、冬学期(10~1月)は、子供が学童から帰る時間を早くしたいので、なるべく遅い時間帯に必須科目が入らないといいな・・・と祈りながら、日課表の決定を待ちます。
  
・必修科目
・選択必修科目

など、縛りのあるものを先に押さえつつ、自分のキャパシティを考えながら、自由科目の中からも、興味深いものを選びます。

◆授業を取りすぎると、墓穴を掘るハメに

 「週に何回行くの?」とよく聞かれますが、授業に出る日だけが大学に行く日とは限らないし(図書館や自習室に行くので)、毎日1科目ずつ入れて、授業の前後に予習復習の時間をとりながらじっくりやるか、授業を特定の曜日に固めて登校日を少なくするか(←その日は超ハード)は、その人次第。

 前にも書きましたが、大学院の授業は、座って聞く講義形式のものはほとんどなく、出席者がレジュメを作り発表(プレゼン)し、それをもとにみんなで議論する演習形式が主です。少人数のクラスだと2~3週に1度は発表が回ってくるし、発表する順番でなくても数十~100ページの課題(英語の場合もあります)を読んで論点をまとめ、自分なりのコメントができるよう準備をするためには、1つの授業につき数時間かかります。

 つまり「興味があるから」「勉強不足で知識をつけたいから」などと欲張って履修し過ぎると、結局、十分に予習できずに中途半端になってしまったり、徹夜がしばしば続くハメになる可能性も。

 マスター(修士課程/2年間)の場合、修了に必要な科目の単位は、通常1年目でほぼ取り終える人が多いようですが、2年目も「論文指導」や「指導教授の演習(ゼミ)」の時間は引き続き必須。
 ゼミでは、指導教授のみならず、10歳以上年下の先輩からも、研究テーマに関する厳しくも温かいコメントを頂き、凹んでは自らを鼓舞し・・・の繰り返しです。新学期が始まる前は、「休み中、何をやっとったんじゃ!」と言われたらどーしよ。と、ドキドキします。・・・大学院生の長期休暇は、ロングバケーションではなく自分の怠け心と闘い、自習を進める時間なのです。
 
 最近の大学は、他の大学群と提携関係を結んでいたり、外部に対してオープンな大学も多く、他の大学院の単位を取ったり授業を受けることもできます。
 じつは、他大の大学院で、科目等履修生のシステムを使って履修しようかと考えていた授業がありまして、ネットで公開されているシラバスや日課表を調べたところ、あいにく指導教授の論文指導の時間帯と重なってしまってあきらめました。すると、なんと、私のいる大学院で、その先生が非常勤講師として講座を担当されることが判明! でも、この手のラッキー話は、昨今、けっこうよくあることだと思います。

◆「科目等履修生制度」を利用してみませんか?

 「科目等履修生」は、大学や大学院に入学せずとも、希望する科目だけを履修できる制度です。大学院進学に興味はあるけど、どんな雰囲気か知りたい、と思っている方が試しに行ってみるために利用するのもひとつの手かもしれません。出願資格・出願期間・時間割・検定料・入学料・授業料などは各大学のHPなどで調べてみてください。

 国立大では旧帝大(東大を除く)が、規模が大きいためか、「科目等履修生」を受け入れている研究科が多いようで、調べてみたら、公立大・私大でも、ここでは挙げきれないほどの大学が、制度を持っていることがわかりました。いくつか例を挙げます。OGだと安くなる場合もありますので、まずは出身校を調べてみてはいかがでしょう? 

[国立]
・東北大学文学部・文学研究科 科目等履修生出願要項(前年度の要項ですが、問い合わせ先の記載アリ)
・お茶の水女子大学 科目等履修生(大学院博士前期課程)
・筑波大学科目等履修生制度

[公立]
・首都大学東京(「科目等履修生」のほか「社会人聴講生」の制度あり。08年度は募集終了)

[私立]
・早稲田大学大学院商学研究科 科目等履修生(2009年度募集要項)
・早稲田大学大学院ファイナンス研究科 入学案内(画面下「科目等履修生入試」参照)
・上智大学大学院 科目等履修生募集要項(08年3月24日~申し込み開始)
・中央大学大学院入試情報 科目等履修生募集についてa>
・同志社大学大学院ビジネス研究科 科目等履修生募集について
・立命館大学経営管理研究科(経営大学院)科目等履修生

[大学名一覧]
・大学入学情報図書館 RENA ホーム > 社会人と学生の大学・大学院リスト > 大学院 - 科目等履修生制度

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2007年09月10日

【大学院に入院!】 第3回 行ってみよう!と思ったら・・・


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「大学院に入院!」第3回です。

◆行ってみよう! と思ったら・・・ 

まずは「入試要項」を取り寄せ、出願書類を確認してみましょう。だいたい、下記のようなものが必要になります(1~4は必須。5~6は学校や専攻によって異なります)

1)出身大学以外を受ける場合は、出身大学発行の成績証明書、卒業証明書
2)研究計画書
3)社会人入試で出願する場合は、履歴書や職務経歴書、志望書など
4)顔写真
5)語学能力を示す証明書(TOEFLのExaminee’s Score Recordなど)
6)学部の卒業論文

 TOEFLやTOEICは申し込んでから受験し、スコアを手に入れるまでに時間がかかりますし、ふだん英語から遠ざかっている人が突然受けて合格圏内のスコアを出すのは、難しいかも(最近、TOEFLにはスピーキング・セクションが加わって、日本人には厳しくなったといわれています。傾向と対策を十分にする必要アリです)。
 最後のほうでも書きますが、ぶじ合格&入学してからも、大学院生は英語からは逃げられない運命なのです。大学院進学という選択肢が少しでも頭をよぎるなら、早めに腹をくくって、毎日の通勤時間などスキマ時間を利用して、英語のカンをつけておくのが、絶対オススメです。


 参考:「大学院入試のための必須英単語1800」(ナツメ社)

◆「研究計画書」とは?

 文字通り、入学後の研究計画を紙にまとめたものです。・・・って言われても「?」ですよね。
 具体的には・・・

「研究したいテーマ」「研究指導を希望する教員氏名」「志望理由」「研究目的・意義」「研究方法」「仮説」「課程修了後の予定」「参考文献」などの要素を、適宜、盛り込んで書きます。

 書式は、学校によってさまざまで、決まったフォーマットに沿う場合もあれば、文字数以外の指定がない場合も。現在の仕事と関連がある分野で社会人入試を受験する場合は、職歴や社会人経験と研究計画の関連を明確にすることも必要です。

 社会人特別選抜で入試を受ける場合、入試科目減免などの優遇措置があるので、利用できる場合は利用したほうが、入学の際には有利でしょう。ただし、出願時と在学中、在職見込みであることが条件になったり、上司の承諾の有無や両立の可否を面接で確認されたり、入学手続き時に勤務先の上司に「在学中は学業を尊重」と一筆書いてもらわねばならなかったりします。つまり、研究者の卵ではなく、あくまでも“社会人の再教育”対象者である、と自らを位置づける証明をするわけです。
 
 また、入試の際に「社会人特別選抜」の枠はあるものの、時間割の関係で、休職や時短勤務をしないと仕事との両立は無理!な場合もありますので、ご用心。詳しくは、前回の記事をご参照ください。

 研究計画書について参考にしたのは、、『研究計画書の考え方』や、『これで書ける!大学院研究計画書攻略法』などの本です。筆記試験を通過した後の口述試験(口頭試問ともいう)の際にも、役立ちます。

◆試験はどんな感じ?

 各大学院のHPに、選考方法や過去の入試結果、過去問題、合否の状況などが掲載されていますので、まずはご参照ください。

 筆記試験は「専門分野に関する知識を問う問題」「専門論文」「外国語」「口述試験」などが定番。辞書持込は可だったり不可だったり。社会人入試だと、科目が少なくなることもあります。
 筆記試験対策は、専攻によって異なるので割愛します。資金&時間の余裕があれば、院入試の専門学校(後述)に通うのも手かと。

 口述試験は、研究計画書をもとに、複数の先生が質問をする形です。私は、出身学部とは違う専攻を受験したので、専門用語を駆使しながらの、遠回しで批判的なコメントにきちんとリプライできず、冷や汗をかきました。

たとえば「あなたは○○主義というものを、どういうものだと思っているのか?」と、いきなりジャブを浴びせられ、「う~ん、賛否両論あって、まだ決着がついてないよねぇ。限界もあるけど一理あるし。そもそも、この先生は、支持してるのか、してないのか?」。勘で答えると裏目に出る。坂口憲二状態で固まっているうちに「いろいろと問題があるといわれているので、安易に理論的枠組みとして使うのは要注意!」と締めくくられてしまい、なんだか敗北感。でもさぁ、それが言いたかったなら、最初に探りを入れず、2球目の球を先に投げてきてほしいわ~。社会人は、抽象的な質問に弱いのよ! ブツブツ。 
  ・・・ってな具合で、慣れるまでは、日々、異文化コミュニケーションでした。。。

 
◆予備校に通うべきか?

 社会人経験者で、大学院受験予備校に通って合格した人もいます。

 私は、論文対策は特に要らないかなと思ったし、そもそも通う時間もなかったので、上述の本を読んだだけで、自己流で臨みました。しかし、今にして思えば「研究のお作法」が全くわかっておらず。残念ながら、第1志望は不合格。自業自得ですが、なぜベストを尽くさなかったのか? と、へこみました。

 ちなみに、学部の入試難易度、就職ランキング等と大学院の研究レベルは、必ずしも比例しないものでして、私の場合、第2志望の学校に行くことになりましたが、自分の専攻領域にのみ関していえば、現在の学校のほうが、規模が大きく教員数も多く、カバーする領域も多岐にわたっています。しかも、担当教授は業績も人柄も尊敬できる方で、アドバイスも、痺れるぐらい的確で。たまたま、結果オーライとなりました。

 今は、微妙に専門領域が異なる複数の先生方に、それぞれの角度から指導してもらえるのが、非常にプラスになっているのですが、第1志望先の当該領域は、規模が小さくて、先生も数人しかいないので、たぶん、基本的には、指導教授と1対1。しかも、聞くところによると、かなり気難しい方との噂(確かに、面接時に「なんか、今、鼻で笑われたよね?」と、一抹の不安を覚えた)。仮に合格していたら、今頃、息が詰まる日々を送っていたかもしれません・・・。事前の「研究室訪問」が可能なら、訪問しつつ、先生との相性もチェックすると、安心でしょう。

◆英語は必須

 大学院レベルなら、どんな専攻でも英語は必須

 英語だけは、スキマ時間にコツコツやっておいたほうがよかった、と猛反省しています。大学受験時は英語が得点源だったのに、今は、面接時に「英語は苦手ですか?」といわれるほどの錆び付き具合でしたので(辞書持込不可の第一志望校⇒不合格)。

 しかし、入学後、論文を書くにあたって、日本語の文献しかあたらないのは、コンビニの材料だけで本格フレンチの修行をするっていうぐらい、無茶な話なんだと気づきました。

 できれば、まだ誰も言ってないことに言及したい。せっかくなら、少しでもトップレベルに近づきたい。そう思ったときにカギになる文献が、まだ邦訳されていないことが多いんですね。さらにいえば、成果をアウトプットする際、英文で書くことで、それを世界中に向けて発信することもできる。

 そんなわけで、今さら英語の勉強とは正直億劫だけど、追い込まれないとダメなタイプなので、10月末のTOEICを申し込んでみました。一緒に受ける方、募集中! 

 TOEFL,TOEICのスコア提出でなく、英語の筆記試験対策が必要なら、こんな参考書があります。専門領域の英語の知識は、入学してからも役に立つので、チェックしておいて損はありません。

  

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2007年08月15日

【大学院に入院!】 第2回 ビジネス系か、アカデミック系か


投稿者 fellow

◆ビジネス系か、アカデミック系か

 葉山るかです。「大学院に入院!」第2回目は、大学院の専攻について、レポートします。

 大学院に進学する場合、学ぶ目的やその後の進路は、大きく分けると2つに分類されます。「高度専門職業人」養成のビジネス系と、「研究者」養成のアカデミック系の2つです。(あえて大雑把に整理しました。厳密な分類は、文末の「参考サイト」等でご確認ください)

 ビジネス系は、仕事をしながらアフター5に通う社会人学生が多く、夜間や土曜の授業がメイン。
 アカデミック系は、学部からそのまま進学した学生が多く、授業は昼間に行われます。社会人にとっては仕事との両立が難しい時間帯なので、いったん休むか辞めて入学する人がほとんどです。
 
 私は、学部から直行の学生が多いアカデミック系の修士課程(博士前期課程)にいるので、一回り以上年の離れた同級生がほとんど。やはりジェネレーション・ギャップは多少ありつつも、みんなで家に遊びに来てくれたり(教員免許を持ってる子が、子供のハートをわしづかみ。やんちゃな娘と汗だくで遊んでくれました)、たまーに恋の悩みを打ち明けてくる子もいたり、と、仲良くしてもらっています。

 ビジネス系は、専攻によって職種もさまざまですが、概して「エネルギッシュな社会人」が多いようです。複数の院で授業を持つ教授が「○○研究科(←アカデミック系)の学生は、覇気がない。休講だとみんなラッキー!と思ってるでしょ? △△研究科(←ビジネス系)は、休講にしたり開始時間が遅れると、大ブーイングなんだよ。意気込みが違う!」とおっしゃっていました。議員として活躍中の女性や、上場企業の女性役員など、会うと刺激になりそうな女性たちも多く、授業が終わった後は、毎週、みんなで飲みに行くんだそう。確かに、学部からストレートで来た子はおとなしい場合が多く、ゼミなのに、毎週先生と私しか発言しない、という授業もあるので、そういう話を聞くとうらやましいなと思いますが・・・。

 子供がいて仕事もしている女性が進学する場合、手持ちの資源(夫や親の協力、経済力)や仕事の状況、子供の年齢なども考慮する必要があるかと思います。私も、当初、仕事を続けながらビジネス系の院に通う形を検討すべく、資料収集を行いました。

 しかし、授業が夜なので学費のほかに託児費用もかかることや、子供の生活リズムや精神面、自分自身の健康、夕方までに仕事を切り上げられるのか?といった不安要素と、当該ジャンルで学位を取ることで得られるメリット・・・。そのほか諸々を総合的に考慮すると、犠牲が大きいわりに自己満足で終わりそうな気がしました(※あくまでも、私自身の経験やプライオリティを反映させたうえでの判断です)。

 アカデミック系の院に進む場合、通常、修士課程2年+博士課程3~5年で、最低5年はかかりますが、ゆっくりと専門性を磨きながらキャリアチェンジを図るほうが、子供との生活も楽しめるし、身体にも無理がかからず、いいかなと思ったのです。

 唯一(?)の弱点は、お金が入ってこないこと!!  イテテッ
 だてに長く働いていたので、あと5年分ぐらいの学費はありますが、学術書は高くて、資料代がけっこうかかります。学会に出席するための交通費も、バカになりません。生活費を夫だけに頼る状況は、心もとないですね・・・。

◆授業の時間帯を事前にチェック!

 知り合いで、2人目のお子さんを産んだのをきっかけに、これ以上仕事を続けるのはムリ!と、マスコミ系の仕事を辞め、ビジネス系の院に入った人がいます。「『昼夜開講制』だから、昼間にある授業を取ろう」と考えていたそうです。

 しかし、実際は「昼」といっても、始まるのは早くて16時台で、終わると夜。講師も現場の第一線の方は、本業が忙しいので、時間割の中でも最も遅い時間帯を受け持つことが多く、毎回、授業の続きは飲み会で・・・ということに。話がいちばん面白くなるところで帰るのはあまりにも辛く、毎週終電まで付き合ったが、かなり負担だった・・・と言っていました(彼女は実家が近く、子供をみてもらえたみたいですが)。  
 
 HPやパンフレットには、ワーキングマザーにとって気になる点が、簡単にしか書かれていない可能性大です。できれば、前の年の授業の時間割を見せてもらうなどして、本当に通えるのか、取りたい授業を取れるのかを、事前に詳細にチェックしましょう。また、通学やお迎えにかかる時間、交通機関の込み具合、ダイヤの間隔などを調べてみることも、おすすめします。

■参考サイト
 ・社会人のための大学・大学院進学ガイド(リクルート大学&大学院net)  
 ・大学院基礎知識(大学院へ行こう!)
 ・大学院入試コース(中央ゼミナール)

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2007年07月23日

【大学院に入院!】 第1回 託児施設、あります。


投稿者 fellow

 葉山るかです。突然ですが、いま、大学院で勉強をしています。

 タイトルに、「入院」という自虐的な表現を使ってみたのは、博士号を取っても就職できなかったり、長引くといろんな意味で(費用や社会復帰など)大変な状況があり、「気楽でいいわねぇ」とか「あとで大変だよ」とツッコまれる前に、自分でツッコんでおこうと思ったからです。

 で、私自身の入院生活(?)は、というと、今のところ、来てよかった!と思っています。

桜.JPG
(入学式の日の桜と、同好会メンバー募集の看板)

 この心境に至るまでには、カルチャー・ショックを受ける出来事も多く「大変な道を選んでしまった・・・」と落ち込んだ時期もありました。でも、今は、社会人になってしばらくたった頃のような、仕事の面白さがやっとわかってきて寝るのも惜しいほど夢中! な感覚を、久々に味わっています。

 現在通っている学校には、なんと、託児施設もあります。
 ただ、うちの子は慣れない環境に身を置くと、とある症状が出やすいことと、料金面で、保育園や学童に預けるほうがかなりお得・・・。という理由で、残念ながら、まだ利用したことはありません。

 でも、「託児施設がある」=「子育て中の学生も歓迎」という大学側の姿勢自体には、魅力を感じませんか? 会社では「え、もう帰るんだ・・・」といわれ、保育園では「やっと迎えに来てくれたね。よかったね」といわれ、小学校では、平日の朝や昼にたびたび呼び出され・・・。どこへ行っても「規格外」を味わいがちな身としては、実質的には効力がないものの、少なくとも招かれざる客ではないと確認できたことに、少しほっとしました。もちろん、まだまだ十分とはいえませんけどね。

 実際、既婚女性が予想外に多く、同じ研究科に私以外にも3人、ママがいます。同じ授業を取っている人とは時々ランチしていて、子供のこととか、時間のやりくりなどについて、話したりすることもあります。ちなみに、既婚で子供がいない女性も、3人ぐらい。既婚女性が院生(修士+博士)全員の中で、約1割を占めることになります。これって、一般企業に比べると、多いですよね? ・・・人生の選択肢として、大学院で学ぶことを選ぶ人がもっと増えて「少数派」でなくなればいいなと願いつつ、今後、このシリーズを書いていきます。

 6月あたりから、大学院進学希望者向けの「オープンキャンパス」や「進学相談会」が各大学で開催されていて、私の所属する学校でも、近々、始まります。
 「知り合いで興味がある人がいたら、渡しておいて!」とチラシを配布していた先生に「社会人も歓迎」かどうかを聞いたところ、「学生でも社会人でも、興味のある人ならどなたでも、是非!」とのこと。

 大学院重点化が推進される昨今、属性を問わず、優秀な志願者を多く集めたい、と大学側は考えているようです。

 ご興味をもたれた方は、ぜひ、「オープンキャンパス」などのイベントに足を運んでみてください! 開催日程は、各大学院のHPに載っています。

 もしその手の相談会が終わっていても、進学希望者用の窓口(呼称は「入学センター」「広報センター」等)に問い合わせをしてみては、いかがでしょうか。

■参考URL
大学における託児施設設置の動き(内閣府『平成18年版 少子化社会白書』)

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